こんにちは。弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所の鈴木徳子です。
先日、あるお客さんから、季節商品の製造販売の準備をするため、検討中の商品デザインが他者の意匠権に抵触していないか調べて欲しいという依頼を受けました。
調査を進めると、競合他社が同じ商品に関し、異なるデザインの複数の意匠権を取得していることが分かりました。(弊所のお客さんの商品デザインは、これらの意匠とは全く異なるものでしたが。)
しかし、競合他社が実際に販売している商品デザインについては、意匠権が取得されていないことが分かりました。他のデザインに関し複数の意匠権を所有し、知財に費用をかけている企業にしては不思議なことだと思いました。
もしかすると、実際に販売している商品デザインに関しても意匠出願をし、新規性がないといった理由で拒絶になり、最終的に登録に至らなかったのかもしれません。しかし、それもデータベース上では確かめようがありません。
意匠出願は、拒絶すべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、初めからなかったものとみなされますし、出願しただけではその内容が公開されないからです。
これは商標とは大きな違いです。商標の場合は、出願から1か月位で出願内容が公開されますので、データベースをチェックすれば、他の企業がどのような事業に興味を持っているのかの推測もできます。
意匠は登録された場合にのみ内容が公開されます(秘密意匠を除く)。意匠は物等のデザインなので、一瞬でパクることも容易であり、出願人の利益を守るためにも出願中の意匠は公開されません。
この点、技術の進歩のために発明内容を公開することと引き換えに、独占権を付与する特許とも異なります。法域により、公開に関する考え方も異なり興味深いです。
知財に関するご相談がありましたらお気軽にご連絡下さい。
今日は以上です。