こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
以前のブログでご紹介しましたが、スイスとの間で租税条約を改正する議定書が締結されました。
そして、2022年11月30日にこの議定書が発効しますので、今回はこのことについて書きます。
財務省のプレスリリースによると、2022年10月31日に、我が国とスイスは、上記条約を発効させるために必要な相互の通告が完了しました。
その結果、日本およびスイスの両国では、次の事項に関し、上記条約が適用されることになります。
- わが国では
- 課税年度に基づいて課される租税に関しては、2023年1月1日以後に開始する各課税年度の租税
- 課税年度に基づかないで課される租税に関しては、2023年1月1日以後に課される租税
- スイスでは
- 源泉徴収される租税に関しては、2023年1月1日以後に支払われ、又は貸記される額
- その他の租税に関しては、2023年1月1日以後に開始する各課税年度
なお、仲裁手続に関する規定は、2022年11月30日から次のものについて適用されます。
- 2022年11月30日において、両締約国の権限のある当局による検討が行われている事案。当該事案の未解決の事項は、本年11月30日の後3年を経過するまでは、仲裁に付託されません。
- 2022年11月30日の後に両締約国の権限のある当局による検討が行われる事案。
この議定書の発効により、投資所得(配当及び利子)については、以下のとおり、源泉地国(所得が生ずる国)における課税が軽減され、または免除されます。
配当 | 利子 |
---|---|
免税(持分保有割合10%以上・保有期間365日以上) 10%(その他) | 免税 |
スイスとの租税条約のポイントはこちら
さて、この表を見ると、他の租税条約とは異なり、ライセンス契約により得られるライセンス料(使用料)の課税の記載がないことが分かると思います。
でもご安心ください。
ライセンス料(使用料)については、平成23年12月30日に発行された改正議定書により、既に免税!になっています。
よって、この租税条約を適用しないと、日本・スイスの両国で、ライセンス料に対して課税されることになりますので、スイスとの企業とライセンス契約等を締結しているまたは締結する予定がありましたら、すぐに租税条約の適用に関する届出を是非行ってください。
なお、弊所では、スイスの企業を含む外国企業とのライセンス契約における租税条約のご相談も承っております。
ライセンス契約に関して何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。