農研機構が改正種苗法に基づく登録品種の自家増殖許諾受け付けを開始しました

農研機構が改正種苗法に基づく登録品種の自家増殖許諾受け付けを開始しました

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

契約書のイラスト

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が、改正種苗法に基づく登録品種の自家増殖許諾受け付けを開始しましたので、今回はそれについて書きます。

「農研機構育成の登録品種の自家用の栽培向け増殖に係る許諾手続きについて」のWebページはこちら

令和4年4月1日から、許諾を得て登録品種の種苗を生産・販売している種苗業者、生産者団体等を通じて正当に入手した種苗から得た収穫物を、自己の農業経営において更に種苗として利用する行為は、育成者権者の許諾が必要となります。

そこで、農研機構は、農研機構が育成者権を有する登録品種(出願中の品種を含む)に関して、自家用の栽培向け増殖に係る許諾の手続きを始めたことになります。
(共有登録品種の場合は、取扱いが異なることがあるようです。)

なお、太字で強調されていますが、今回の許諾は、あくまで自家用の栽培向け増殖に関するものであり、増殖した種苗の他者への譲渡(有償・無償に関わらず)を許諾するものではない点にご注意下さい。

無断で、増殖した種苗の他者への譲渡(有償・無償に関わらず)した場合には、育成者権侵害になります。

ちなみに、種苗法には、「育成者権又は専用利用権を侵害した者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」(種苗法67条)と規定されていますので、ご注意ください。

さて、今回の手続の対象品種ですが、シャインマスカットを含め、数百品種が対象となっています。

ブドウのイラスト

令和4年3月31日までは、自家用の栽培向け増殖であれば、許諾は必要ありませんでしたが、今後は必要となりますので、現在農研機構が育成者権を有する品種を自家栽培している農家等は、なるべく早くこの許諾申請を行った方が良いと思います。

インターネット上で手続ができるようなので、慣れれば比較的簡単に手続きを行えるようになるかもしれません。

今回の許諾対象である品種は、多額の費用と、農研機構の研究者の努力とによって生み出された知的財産です。

適切な取り扱いをすることによって、農研機構から更なる優良品種が生み出されると思います。

適切な手続きをお願いいたします。

弊所では、育成者権をはじめとする知的財産の契約に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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