中小企業の知的財産戦略を考える際に役立つ資料28
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
中小製造業で、これから医療機器業界に新規参入したいと考えている方も多いと思います。
そこで、今回は、医療機器業界への新規参入に役立つ資料「医療機器等参入 中小企業のための知財の手引書」をご紹介します。
「医療機器等参入 中小企業のための知財の手引書」はこちら
この資料は、経済産業省 中部経済産業局が取りまとめて公表しているものです。
平成28年3月に発行されたものなので、少し古い情報なのではないかと思う人も多いと思いますが、今でも十分に役立つ資料だと思います。
さて、内容ですが、次のような目次となっています。
- はじめに
- 厳選知財 12のチェック・リスト
- 市場探索
- 参入の検討
- 展示会・セミナーへの参加・交流
- ライバル製品・企業の調査
- コンセプト設計
- クローズド研究会の立ち上げ
- 連携体の構築
- 海外展開の可能性
- 開発・試験
- 共同開発の着手
- 共同開発の実施
- 特許によらない戦略
- 特許申請の検討
- 製造・販売
- 特許権侵害トラブル発生
- 販路開拓
- 知的財産権に関する総合支援窓口
詳細は、この資料をダウンロードしてご覧になっていただければと思いますが、イラスト等を使って非常に分かりやすく各ポイントについて説明されています。
また、各項目ごとに、注意点や事例が紹介されており、実務的にも役立つ情報も記載されています。
例えば、4.コンセプト設計では、「知財の調整役はいますか」という項目に関し、次のように記載されています。
「共同開発においては、複数のメンバーの間で知的財産の管理について、調整する人が必要です。各自の事情を考慮しながら、製品や技術の開発のために必要な道筋を見つけます。」
(実務では、この役割は非常に重要です。知財でもめると、せっかくの共同研究が台無しになることもあります。)
また、この項目の事例紹介では、次のように記載されています。
「大学のドクターの考えだけで共同開発を進めてしまった。その結果、研究成果の独自性が優先され、コストを度外視した製品となってしまった。その上、特許出願前に論文を発表され、特許化できなかった。」
(よくある事例ですね!)
このように、非常に分かりやすい表現で、各項目が説明されています。
なお、この資料で最も素晴らしいと思う部分は、「販路開拓」についてもしっかりと説明されている点です。
知財関係の資料ですと、開発から製品の上市の段階までしか記載されておらず、ビジネス的には最も大事な販路開拓の部分が記載されていないことが多いです。
しかし、この資料では、「展示会」が最も有効と、販路開拓の具体的手段も記載されています。
以上説明したように、この資料には、医療機器等の開発から販路開拓まで、一貫して分かりやすく記載されています。
これから医療機器等への新規参入を検討している方は、この資料に目を通してみてください!
きっと何らかの指針が得られると思います。
弊所では、医療機器分野への参入から、知的財産権の取得・活用まで一貫したサポートを行っております。
医療機器開発について何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。