脱炭素技術に関する日本の技術力(後編)
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
前回のブログに書いた『「知財」で見る、世界の脱炭素技術(前編)』に引き続き、2021年10月5日に、資源エネルギー庁から『「知財」で見る、世界の脱炭素技術(後編)』という記事が公表されていますので、今回はそれについて書きます。
『「知財」で見る、世界の脱炭素技術(後編)』はこちら
国は、2020年12月に、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。
この成長戦略では、今後、産業として成長が期待されるとともに、温室効果ガス排出削減の観点から取り組むべき14の重要分野が設定されています。
そこで、資源エネルギー庁は、これらの分野に関し、知財競争力※を代表する指標として、2010~2019年の10年間に各国に出願された特許を対象に、
- 各分野の特許数
- 特許への注目度(他社閲覧回数、情報提供回数など)
- 特許の排他性(他社拒絶査定引用回数、無効審判請求回数など)
などを評価し、それをそれぞれの特許の残存年数(あと何年権利が認められるかの年数)とかけあわせ、企業ごとに集計した指標「トータルパテントアセット」を、企業国籍別で再集計することにより国・地域別の特許競争力の順位付けを行いました。
さて、『「知財」で見る、世界の脱炭素技術(前編)』では、前半の7分野について解説されていましたが、後半では、残りの7分野について解説されています。
例えば、この記事では、食料・農林水産業において、日本は知財競争力が1位であるとされています。ちょっと意外な感じがしませんか?
これは、「植物は温室効果ガスのひとつであるCO2を吸収して育つため、こうした植物を育成する農林畜産技術や関連機具の技術も、脱炭素技術のひとつとされています。この産業分野の特許を分析した結果、日本が首位となりました。これは農産品の技術というより、省エネルギー(省エネ)化などを進める日本の農機具メーカーの特許が強いためで、欧米の化学メーカーなどを抑えてトップに立っています。」と分析されています。
確かに、日本の農機具メーカーは世界的に競争力があるので、このような説明があると納得できるのではないかと思います。
また、次の人工光合成分野では、日本は圧倒的な知財競争力を有するとされています。
この理由については、上位5者が、日本企業または日本の大学に占められているからだと分析しています(人口光合成技術は、海外ではあまり注目されていないのでしょうか?)。
このように、日本は、まだまだ世界に伍する高い技術力を有しています。
今後も世界を変えるような技術開発を行って欲しいですね!
弊所は、上記14分野以外の分野も含めて、企業の競争力を上げるためのご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。