「産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発の推進の在り方に関する検討会 報告書」が公表されました
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
令和3年8月4日に、文部科学省から「産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発の推進の在り方に関する検討会 報告書」が公表されたので、今回はこれについて書きます。
「産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発の推進の在り方に関する検討会 報告書」はこちら
この報告書は、令和3年度で文部科学省の医療分野研究成果展開事業の事業期間が終了することに伴って、橋渡し研究プログラムなど産学連携による研究開発の推進に関する事業も含めて、今後の課題を整理するとともに、このような医薬品・ 医療機器等の開発の状況を踏まえ、令和4年度以降の推進の在り方について検討を行ったものです。
さて、この報告書の内容ですが、次のような目次となっています。
- はじめに
- 事業概要及び成果
- 先端計測技術・機器開発プログラム
- 産学連携医療イノベーション創出プログラム
- 研究成果最適展開支援プログラム
- 戦略的イノベーション創出プログラム
- 産学共創基礎基盤研究プログラム
- 事業の改善の方向性
- 研究開発の早期から成果の実用化に向けた支援を充実させることが必要
- 多様化する開発ニーズへ対応させることが必要
- 開発経験を有する企業の参画が成果の展開には重要
- 質の高い拠点の活用が必要
- 関連事業の役割の明確化と効果的な連携を目指すことが必要
- 今後の産学連携による医薬品・医療機器等の研究開発の推進の在り方
- 事業プログラムの統合・整理について
- 事業プログラムの改善について
- 橋渡し研究プログラム
- 先端計測分析技術・機器開発プログラムを土台とした後継事業
この報告書は、あくまで大学側(文部科学省側)の始点から見た分析なので、企業側から見ると、どうかな?と思う部分もあると思います。
ただ、医薬品や医療機器を開発する際に、企業にとっても重要な示唆が含まれていると思います。
例えば、3.3の開発経験を有する企業の参画が成果の展開には重要 には、
「医療機器の事業化経験を有する企業の参画を進めることが本分野における成果を事業化に向けて導出していくための大きな要素となっていることは明らかであり、今後の事業設計を進めていく中で考慮していくことが必須である。」
と記載されています。
これは大学側の視点ですが、「大学」を「医療機器開発を行ったことがない企業」に置き換えても同様に考えることができます。
医療機器は、通常の製品とは異なり、薬機法や保険収載等の独特の制度を考慮しながら開発する必要があります。
これから医療機器業界に参入しようとしている企業は、医療機器の事業化経験を有する企業、特に製造販売企業と連携して開発することをお勧めします。
一方で、大学と医薬品や医療機器に関して共同開発しようと考えている企業にも役立つ情報が記載されています。
例えば、
「実用化の加速を目指し、開発の進んだ段階における企業との連携推進を義務化することで、各シーズの研究開発体制を強化すべきである。なお、優れた基礎的な研究を効率的に企業につなげるため、基礎・応用研究から非臨床研究につなぐための支援を強化することも必要である。また、企業連携先には、 ベンチャー企業等、幅広く考えるべきである。」
と記載されており、大学との連携先が大企業だけでなく、ベンチャー企業や中小企業にも広く開かれる可能性があると思います。
この報告書には、医薬品や医療機器を開発する際に役立つ情報が記載されておりますので、是非目を通してみてください。
弊所では、医薬品や医療機器の開発に関し、大学等の公的研究機関との連携に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。