地理的表示保護制度に登録されたときのメリット
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
以前のブログに地理的表示保護制度に登録されたときのメリットを書きましたが、2021年3月25日に農林水産省から、新たなメリットが公表されましたので、今回はそれについて書きます。
新たなメリットに関する農林水産省のプレスリリースはこちら
さて、今回新たに得られることになったメリットは、「経済連携協定(EPA)を利用したGI産品の輸出手続きの簡素化」になります。
原則として、日タイEPAや日インドネシアEPA等のEPAを利用して日本産農林水産物・食品を輸出する際に、日本の輸出業者は生産者から、それらの水産物等が日本産であることを証明する生産証明書等を入手して日本商工会議所に第一種特定原産地証明書の発給手続を行う必要があります。
その手続に関し、地理的表示が認められた農産品等(GI産品)は、日本産であることは当然であることから、、輸出業者はGI登録名称が記載された仕入書や納品書等を生産証明書の代わりに利用して日本商工会議所に第一種特定原産地証明書の発給手続ができるようになります(下図参照)。
ちなみに、この手続の簡素化は、2021年4月1日から施行されます。
なお、農林水産所から、「GI産品のEPA利用手続の簡素化に関するご協力のお願い」という資料も公表されています。
「GI産品のEPA利用手続の簡素化に関するご協力のお願い」はこちら
この資料には、次のような質問に対する回答も記載されています。
- なぜEPA 利用手続の簡素化をするのですか?
- なぜGI産品のみがEPA利用手続の簡素化対象なのですか?
- すべてのGI産品がEPA 利用手続の簡素化対象ですか?
- 具体的にEPA利用手続の簡素化対象とならないGI産品は何ですか?
- EPA利用手続の簡素化対象とならないGI産品はEPAを利用できないのですか?
- 今後、EPA利用手続の簡素化の対象産品に追加や変更はありますか?
- EPA利用手続の簡素化対象に関する資料はどこで入手できますか?
- EPA利用手続の簡素化をはじめ、 EPA利用手続全般について教えてください。
- EPA利用手続の簡素化の対象産品について、第一種特定原産地証明書の発給手続を行う際の注意点を教えてください。
- EPA利用手続の簡素化の対象産品について、第一種特定原産地証明書を発給手続を行ったところ、日本商工会議所から内容確認の連絡がありましたが、どうしたらいいですか?
- GI産品の生産者や生産者団体が自分のGI産品についてEPAを利用して輸出するためにはどうしますか?
- 生産者や生産者団体にとってのEPA 利用手続の簡素化のメリットは何ですか?
- どのようなときに輸出業者から問い合わせがありますか?
- 輸出先国から生産者や生産者団体に直接連絡がくることはありますか?
気になる質問がありましたら、この資料をご参照ください。
さて、GI登録のメリットとして、次のようなものに加えて、今回の手続の簡素化が加わることになりました。
- 行政による不正な地理的表示の取り締まり
- 更新手続およびその費用が発生しない(商標権と異なる)
- 日EU・EPA等の国際的な枠組みに基づき、対象国における地理的表示の保護
地理的表示保護制度の登録によるメリットが増えてきましたね!
そして、今回の手続の簡素化により、GI産品の外国への輸出がし易くなりました。
日本の優れた農産品の輸出を考えている方は、是非GI登録を検討してみては如何でしょうか?
弊所では、地理的表示申請代理サービスも行っております。
申請中の案件でもご相談いただけますので、お気軽にご相談ください。
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今日は以上です。