特許庁の手続に関する新型コロナウィルスの影響
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
令和2年(2020年)4月現在、日本において新型コロナウィルスが猛威を振るっていますが、特許庁の手続についてもその影響が出てきていますので、今回はそれについて書きます。
新型コロナウィルスの影響に関する特許庁のプレスリリースはこちら
このプレスリリースによると、特許庁に係属中の出願または審判事件に関し、
- 指定期間(特許庁長官、審査官や審判官によって指定される期間)
- 法的期間(特許法等の法律によって定められている期間)
の2つに分け、事情によって救済を受けることができることになっています。
しかし、救済を受けるためには、上記2つの期間のどちらの場合であっても”必要と認められる場合には“という条件を満たす必要があります。
この条件が、どのような場合に満たされるかについてのガイドライン等は存在しませんので、現時点では非常に不明確な取り扱いとなっています。
特に、弁理士等の代理人が付いている場合には、この条件を満たすことは難しいのではないかと思います。
(本人が手続できない場合であっても、弁理士等の代理人が手続を行うことができますし、代理人であれば最悪の状況を避けるべく何らかの手続を行うと考えられるからです。)
したがいまして、現在特許庁に継続している案件がある場合には、上記の救済措置を当てにせずに、早急に手続をすることをお勧めいたします。
(弊所でも、現時点で行える手続は既に行うと共に、少しでも対応期間を長く取れるような対応をしております。)
ちなみに、法的期間は、救済手続が認められる期間が手続ごとに異なります。
特許庁のHPにも記載されていますが、救済手続を求めるにしても、次の手続期間を必ず守るようにしてください。
(次の手続期間について正確なものとなるように気を付けていますが、万が一も考えられますので、必ず特許庁のHPで確認してください)。
- 14日以内に手続することで救済が認められる手続
手続が可能となってから14日以内に手続をしてください(在外者の場合は2月以内((7)について在外者の場合は1月以内))
ただし、所定期間経過後6月以内に限ります。((6)については所定期間経過後9月以内、(7)については所定期間経過後2月以内、(21)及び(23)については所定期間経過後7月以内)。- 新規性喪失の例外規定の適用を受けるための証明書の提出(特30条4項、意4条4項)
- パリ条約による優先権主張に係る優先権証明書の提出(特43条8項、実11条1項、意15条1項、意60条の10第2項、商13条第1項)
- 特許出願の分割(特44条7項、実11条1項)
- 実用新案登録出願又は意匠登録出願から特許出願への変更(特46条5項)
- 実用新案登録に基づく特許出願(特46条の2第3項)
- 特許権の存続期間の延長登録出願(改正前特67条の2第3項、改正前特施令3条ただし書)
- 改正前特許法第67条の2の2第1項の規定による書面の提出(改正前特67条の2の2第4項)
- 特許料(登録料)の納付(特108条4項、実32条4項、意43条4項、商41条4項、41条の2第4項、65条の8第5項)
- 既納の特許料(登録料)の返還請求(特111条3項、実34条3項、意45条、商42条3項、商65条の10第3項)
- 拒絶査定不服審判の請求(特121条2項、意46条2項、商44条2項)
- 再審の請求(特173条2項、実45条1項、意58条1項、商61条)
- 出願審査の請求の手数料又は過誤納の手数料の返還請求(特195条13項、実54条の2第12項、意67条9項、商76条9項)
- 実用新案登録の明細書等の訂正(実14条の2第6項)
- 実用新案登録無効審判請求の取下げ(実39条の2第5項)
- 参加申請手数料の返還に係る参加申請の取下げ(実54条の2第6項)
- 補正却下決定不服審判の請求(意47条2項において準用する意46条2項、商45条2項において準用する商44条2項)
- 意匠法第60条の6第1項の規定により意匠登録出願とみなされた国際出願(以下「国際意匠登録出願」という。)に係る個別指定手数料の返還請求(意60条の22第3項)
- 商標出願時の特例の規定による証明書の提出(商9条4項)
- 国際登録の取消し後の商標登録出願(商68条の32第6項)
- マドリッド協定議定書の廃棄後の商標登録出願(商68条の33第2項で準用する商68条の32第6項)
- 国際特許出願における発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための証明書の提出(特施規38条の6の3)
- 国際特許出願又は特許法第184条の20第1項の申出をする場合におけるパリ条約による優先権主張に係る優先権書類の提出(特施規38条の14第1項)
- 国際意匠登録出願における意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための証明書の提出(意施規1条の2)
- 2月以内に手続することで救済が認められる手続
手続が可能となってから2月以内に手続をしてください。
ただし、所定期間経過後1年以内に限ります。((7)~(9)までについては所定期間経過後6月以内)。- 外国語書面出願の翻訳文の提出(特36条の2第6項)
- 出願審査の請求(特48条の3第5項)
- 特許料(登録料)及び割増特許料の追納(特112条の2第1項、実33条の2第1項、意44条の2第1項)
- 外国語特許出願の翻訳文の提出(特184条の4第4項)
- 国際特許出願における在外者の特許管理人の選任(特184条の11第6項)
- 外国語実用新案登録出願の翻訳文の提出(実48条の4第4項)
- 商標権の存続期間の更新登録の申請(商21条1項)
- 後期分割登録料及び割増登録料の追納(商41条の3第1項)
- 防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願(商65条の3第3項)
- 優先権の主張について
優先権の主張を伴う出願をすることができる期間の経過後2月以内に手続をしてください。- 特許出願等に基づく優先権主張(特41条1項1号括弧書、実8条1項1号括弧書)
- パリ条約の例による優先権主張(特43条の2第1項)
- 特許協力条約に基づく国際出願に係る優先権主張(国際出願法施規28条の3第1項)
- 特許協力条約に基づく国際出願について
手続が可能となった後できる限り速やかに手続をしてください。ただし、所定期間経過後6月以内に限ります。- 特許協力条約に基づく国際出願の手続に係る書面の提出(国際出願法施規73条の3第1項)
ちなみに、特許庁のプレスリリースによれば、特許出願等の出願に関する手続については、通常通り受け付けているようです。
特許出願等の出願手続に関する特許庁のプレスリリースはこちら
弊所では、特許出願等の出願手続や、それ以外の特許庁への手続に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。