知財と事業性評価融資について
こんにちは。高田馬場のブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
最近、「事業性評価融資」という言葉をよく聞きますよね。
これは簡単に言うと、金融機関の融資の評価スタンスとして、担保や決算書だけではなく、事業の将来性を考慮するという融資方針のことです。
私は、過去に少しだけ金融機関で働いた経験があり、友人にも(女性を含めて)都銀支店長が結構いますが、本当に金融機関が従来の担保主義から抜け出すことができるのだろうか、と少々疑問に思っています。
なにせ、超保守的な組織ですからね~。とはいえ、金融機関も、すぐには融資スタンスを変更することはないでしょうが、少しずつ変わっていくのではないかと期待もしています。
過去の数字を表した決算書だけではなく、事業の将来性やビジネス展開などを考慮するとなれば、金融機関職員も日頃から勉強をしておく必要がありますね。
特に、優れた技術やブランド力を有する企業に対して融資を行う場合は、知的財産の理解が欠かせません。
金融機関によっては、職員に知財検定(3級)を勉強させているところもあるようです。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが平成30年に全国514の金融機関を対象に行ったアンケート調査では興味深い結果がでています。
例えば、「取引先とのヒアリングにおいて知財情報の活用を行っているか」、という質問に対しては、56%の金融機関が「行っていない」と回答しています。
しかし、個人ベースになると28%が「活用している」と回答しています。
また、「取引先の将来性や経営ニーズの理解のために知財情報を活用しているか」、という質問に対しては、48%の金融機関が「行っていない」と回答しています。
しかし、18%の金融機関については、「社内で制度化されていないものの、一部の取引先では行っている」と回答しています。
総じて言えば、金融機関全体としては、まだまだ「知財の活用」には程遠い状態のようですが、「活用しよう」という気運は芽生えてきているという印象です。
ちなみに、今の日本政策金融公庫の創業融資の創業計画書には、「知的財産権等」という欄も設けられており、特許権などの知的財産権を有している場合には、金利が有利になる可能性があります。
事業性評価融資については、特に知財の活用の点で、今後の動向に注力していこうと思っています。
弊所では、知財を活用した資金調達のご相談も受け付けております。ご興味のある方はご連絡下さい。
今日は以上です。