「大学ファクトブック2019」が公表されました
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
以前のブログでご紹介した「大学ファクトブック」の改訂版(『大学ファクトブック2019 「組織」対「組織」の本格的産学連携の拡大に向けて』)が、2019年7月19日に公表されましたので、今回はこれについて書きます。
「大学ファクトブック2019」はこちら
なお、この「大学ファクトブック2019」ですが、今回も一般社団法人日本経済団体連合会、経済産業省および文部科学省の3者によって取りまとめられ、大学における上記ガイドラインに基づく取組の状況や、産業界との連携実績などのデータを、比較評価が可能な形に「見える化」することで、産業界と大学の連携を更に促進することを目的に作成されました。
さて、「大学ファクトブック2019」の内容ですが、次のような情報が記載されています。
- STRUCTURE 本書の構成
- OVERVIEW 全体の概観
- How to Read 項目別ランキング・トピックスの見方
- Ranking 項目別ランキング
- Topics トピックス
- Index ファクトシート索引
- How to Use ファクトシート索引の使い方
- Collaborative Research Inflows 共同研究受入額順(設置主体別)
- Japanese Syllabary 五十音順
- Technical Field Ranking IPC技術分野別出願動向ランキング順
- FACT SHEETS 大学別ファクトシート
- How to Read 大学別ファクトシートの見方
- National 国立大学
- Municipal 公立大学
- Private 私立大学
これを見ると、数多くのデータがいろんな切り口でまとめられていることが分かると思います。
そして、この資料にはこれだけのデータが記載されているのでいろいろな使い方ができると思いますが、この資料では次のような使い方を考えているようです。
- まず、「OVERVIEW 全体の概観」で、大学ごとのファクトデータを様々な観点から大学間で比較・分析する
- 次に、「ファクトシート索引」で、共同研究受入額や特許の出願動向を把握する
- 最後に、「大学別ファクトシート」で、その大学に関する状況を把握する
この資料をこのように使用することで、その企業に合った連携先の大学を見つけ出すことができるのではないかと思います。
具体的には、「OVERVIEW 全体の概観」では、例えば共同研究受入額や共同研究件数のランキングが掲載されています。
これを見れば、共同研究に積極的な大学(たくさんの経験を有している大学)かどうかが分かります。
次に、「ファクトシート索引」には、各分野別の特許出願数が掲載されています。
これを見れば、所定の分野に力を入れている大学(所定の分野に数多くの特許出願を行っている大学)がどこか分かります。
そして、そこで目星をつけた大学に関して、「大学別ファクトシート」に記載されている情報を読めば、その大学に接触(アクセス)する価値があるかが分かるのではないでしょうか?
ちなみに、東京工業大学は、次のようなデータとなっています。
詳細は、大学ファクトブック2019をご覧になっていただければ分かりますが、東京工業大学の基礎情報としては、次のように記載されています。
- 得意分野は、化学・材料分野、電気電子分野、機械分野、情報分野、生命科学分野、社会基盤分野等、理工系全般。
- 具体例としては、IGZO薄膜トランジスタ技術、パワー半導体技術、LiB固体電解質技術など。
そして、東京工業大学の特筆すべき点は、特許権収入が多い!ということになります。
これは、IGZO※等の大型の技術移転案件があったからだと思われます。
このように、共同研究を検討する上で必要となる情報が各大学ごとに、コンパクトにまとめられています。
大学との共同研究を考えている方は、是非目を通して見てください。
各大学の共同研究費の相場?のようなものも分かりますよ!
弊所では、共同研究契約からライセンス契約まで、知的財産に関する契約書の作成から交渉代理まで幅広いサポートを行っております。
これらの件で何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
※IGZOとは、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)、O(酸素)により構成される透明な酸化物半導体をいう。