「特許権の存続期間の延長に係る審査基準」が改訂されました(2019)
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
以前のブログで、TPP12関連の改正特許法が成立したことを書きましたが、紆余曲折の末(TPP12がTPP11になったり等)、その改正特許法が2020年3月10日に施行されることになりました。
そこで、その改正特許法に併せて、「特許権の存続期間の延長に係る審査基準」が改正されましたので、今回はそれについて書きます。
改正後の特許法67条等は、特許権の設定登録までに出願または審査請求から一定の期間を要した場合に、それらの期間に対応する権利期間を補償するというもの(期間補償のための特許権の存続期間の延長の制度)です。
具体的には、特許権の設定登録が、特許出願の日から起算して5年を経過した日または出願審査の請求があった日から起算して3年を経過した日のいずれか遅い日以後になされたときは、延長登録の出願により存続期間を延長できるというものになります。
特許審査の現状を見ると、拒絶査定不服審判や審決取消訴訟で、特許査定が得られるまでに時間がかかった案件以外はあまり適用されないかもしれません。
一方、特許査定が得られるまでに時間がかかった案件は、重要性が非常に高いものと思われます。
したがって、このような案件では、特許権の存続期間の延長登録出願が行われる可能性があると思います。
しかも、期間補償のための特許権の存続期間の延長の制度は、この以前から存在していた医薬品等の特許権の存続期間の延長制度と併用することができることになっています(特許法67条4項)。
医薬品等の特許権に関しては、この新たな延長制度も考慮すべき必須の制度になるかもしれませんね。
以前のブログに、TPP11の発効に伴う著作権法の影響について書きましたが、TPP11は著作権法だけでなく特許法にも影響を与えることになります。
弊所では、特許権の存続期間の延長登録出願に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。