ベンチャー企業と事業会社とが連携するのに役立つ資料2

ベンチャー企業と事業会社とが連携するのに役立つ資料2

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

以前のブログで、「事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き(初版)」をご紹介しましたが、早くもその第二版が公表されましたの、今回はそれについて書きます。

事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き(第二版)はこちら

握手している人のイラスト初版では、事業会社と研究開発型ベンチャー企業のそれぞれに対して、連携する際に直面する課題等が解説されていました。

例えば、初版には、事業会社と研究開発型ベンチャーのそれぞれに対して自己診断ノートが記載されており、項目別に先行企業の取り組み事例を参照できるようになっていました。

一方、第二版では、事業会社が研究開発型ベンチャーと提携する際に必要となる課題等が解説されています。

さて、この第二版の内容ですが、次のような目次になっています。

  1. はじめに
    1. 本手引き作成の背景と目的
    2. ベンチャー企業は、中小企業や大企業とは異なり、スケーラブルなビジネスを急速に成長させることを目指すイノベーションに特化した事業組織である。
    3. 本敵引きは、以下の3つの目的のベンチャー連携を想定している。
    4. 連携手法としては、業務提携/出資の領域を主な対象としている。
  2. 事業会社がベンチャー企業との連携を検討すべき理由
    1. 既存事業が成熟し製品寿命が短期化する中、イノベーションの重要性が高まっている。
    2. 大企業は合理的な経営を行っているが故に、破壊的なイノベーションに対して脆弱である。
    3. 従来からのクローズドイノベーションに、オープンイノベーションを組み合わせることで、破壊的イノベーションの備えやイノベーションのスピード向上等が実現できる。
    4. 主力事業が成熟し、自社単独でのイノベーションに限界のある企業にとって、OIの必要性は高い。
    5. 自動車メーカーの競争環境は激変しており、1社単独で対応するのは困難。トヨタもOIに積極的に取り組んでいる。
    6. 製薬業界では、開発成功率の低下に加え、特許切れによる急速な収益減少に対応するため、2000年代に研究開発活動の見直しが求められた。
    7. 製薬業界では、事業会社/ベンチャー買収の次の一手として、OIを通じて開発ポートフォリオを効率的に構築。OI活用の本格化の動きは、他業界にも広がるのではないか。
    8. ベンチャー企業は、革新的な技術、イノベーションを起こしやすい組織特性、事業化への推進力を併せ持つ。
    9. ベンチャー企業の探索には多様な手法が存在している。
    10. 例えば、多様な業種において、ベンチャー連携を推進するためにCVC設立が相次いでいる。
    11. 同様に、多様な業種において、ベンチャー連携を推進するためにアクセラレータプログラムの実施も相次いでいる。
    12. 実際に、革新的な技術を持つベンチャー企業と提携を行う事例も続々と出てきている。
  3. ベンチャー企業と連携を行うために最も大切なこと
    1. そもそもアライアンスは、Win-Winでないと成果が期待できない。
    2. 本来、事業会社とベンチャー企業の保有資源・強みは相互に補完的であり、Win-Winの連携を構築しやすいはず。
    3. しかし、事業会社のベンチャー企業への無理解がWin-Winの連携を阻んでいる。
    4. Win-Winの連携のためには、ベンチャー企業の制約・戦略の根幹に対する十分な理解と尊重が必要である。
    5. Win-Winの連携という前提に立てば、相互に補完的な事業会社とベンチャー企業は、マーマレード分配を実現すべく、交渉をすればよい。
    6. 例えば、事業会社は特定領域に限定して一定期間の排他的ライセンスを手にし、ベンチャー企業はそれ以外の領域における活用の自由、開発資金等を得る。
    7. ベンチャー企業はイノベーションの推進に特化したポジティブな側面を有するが、その裏返しとして、事業会社が認識しておくべき側面がある。
  4. 連携の壁と対応のポイント
    1. 「経営」と「現場」が双方の役割を認識し、実行することがポイント。経営のコミット・環境づくりと現場からのフィードバックが循環的に作用し、自社の連携能力が向上していく。
    2. 経営レベル/現場レベルの双方に、ベンチャー連携を阻む壁が存在している。
    3. 壁① 経営陣、中間層・現場のVB連携の必要性の理解、コミットの不足
    4. 壁② 外部連携する領域設定が不明確
    5. 壁③ VB連携に合った組織・権限整備、人材配置
    6. 壁④ 連携先の探索がうまくいかない
    7. 壁⑤ 連携先との契約・知財の交渉がうまくいかない
    8. 壁⑥ 既存事業部門・他部門との調整ができない/反対される
    9. 壁⑦ 連携開始後の共同研究や実証実験におけるマネジメントが弱い
  5. 連携の進め方事例
    1. パナソニック
    2. 旭化成ベンチャーズ
    3. 東急アクセラレータプログラム

この目次を見れば分かると思いますが、この第二版には、具体的な事項について解説されています。

ベンチャー企業との連携を検討している事業会社の担当の方は是非ご覧になってください。図表がふんだんに使われており、分かりやすいものとなっていますよ。

ちなみに、ベンチャー企業との提携(アライアンス)で最も大事なことは、次の図に記載されていることだと思います。

ベンチャー企業とのアライアンス
引用:事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き(第二版)

一方、この資料は、大企業が現在ベンチャー企業をどのようにみているかが分かる資料でもありますので、ベンチャー企業の方も是非ご覧になってみてください。

なお、弊所は、ベンチャー企業のサポートにも力を入れております。
ベンチャー企業の方のみならず、ベンチャー企業と提携したい事業会社の方で、連携について何かありましたら、是非弊所にご相談ください。

今日は以上です。

この記事を書いた人

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