意匠権に基づく輸入差止が、前年比25倍に!(2017)
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
東京税関のプレスリリースによると、平成29年の知的財産侵害物品のうち、意匠権侵害物品の件数が、前年比で25倍になったということなので、今回はそれについて書きます。
次の図に示すように、東京税関が差し止めた知的財産権侵害物品の件数および点数は、下げ止まっているような状況にあります。
ところが、意匠権侵害物品の差押点数は55,355点であり、前年比25倍となっています。
実際、知的財産侵害物品構成比でも、意匠権侵害物品が、次のグラフが示すように、28.7%を占めています。
東京税関によると、これは米国大手IT企業のA社が販売するスマートフォン用のイヤホンのデザインに類似する次のような物品を差し止めたことが影響しているそうです。
(なお、A社は、特許や商標だけでなく、意匠権も積極的に取得しています。)
ちなみに、このイヤホンが輸入され、販売された場合には、A社に約1億1千万円の損害が発生したのではないかと東京税関は試算しています。
(東京税関としては大きな成果ですね!)
意匠権は、特許権とは異なり、特許請求項の範囲に記載されている文章を解釈する必要はなく、商標権と同様に、見た目が似ているか似ていないかで、権利を侵害しているか否かを判断する権利です。
権利範囲としては、比較的狭いものとなっていますが、デッドコピーの輸入・製造・販売を差し止めるには非常に有効な権利です。
意匠権というと、出願数も少なく、あまり活用されていない権利と思われているかもしれませんが、状況によっては非常に使い勝手の良い権利にもなります。
デッドコピーが予想される商品に関しては、意匠権を積極的に取得し、活用しては如何でしょうか?
弊所では、意匠権の取得から輸入差止まで、一貫してサポートしております。
意匠権について何かありましたら、弊所まで是非お問い合わせください。
今日は以上です。