改正カルタヘナ法が施行されます(2018)
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
2018(平成30)年3月5日から改正カルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律)が施行されますので、今回は改正カルタヘナ法について書きます。
平成22年に名古屋で開催されたカルタヘナ議定書第5回締約国会合において、補足議定書※が採択されました。
そして、その補足議定書には、国境を越えて移動する改変された生物により損害(生物多様性への著しい悪影響)が生ずる場合に、対応措置(生物多様性の復元等)をとること等を締約国に求められています。
しかし、現行法には違法な使用者等に対する措置命令(中止・回収等)が規定されていますが、補足議定書が締約国に求めている生物の多様性への悪影響が生じた場合の対応措置の実施に係る規定がありませんでした。
そこで、補足議定書で求められている措置を実施できるように平成29年に法改正が行われました。
具体的な、法改正の概要は次のようになっています。
- 生物多様性に係る損害の回復を図るために必要な措置の命令を追加
環境大臣は、違法に遺伝子組換え生物等の使用等がなされた結果、生物多様性(重要な種・地域に係るものに限る)を損なう等の影響が生じたと認めるときは、当該使用者等に対し、この影響による生物多様性に係る損害の回復を図るために必要な措置(例えば生息環境の整備、人工増殖・再導入等)を執るべき旨を命ずることができる(第10条第3項、第14条第3項及び第26条第3項) - 罰則の追加
上記1の命令違反に対する罰則(1年以下の懲役または100万円以下の罰金の規定を)を設ける(第38条) - その他
上記1の命令の要件や想定される措置等を規定するため、主務大臣が公表する基本的事項に上記1の措置に関する基本的な事項を追加する(第3条等)
今回の改正により、カルタヘナ法に基づく承認等を受けずに、違法に遺伝子組換え生物等を使用(輸入・流通・栽培等)した結果、生物の多様性への悪影響(指定された種や地域に係る、生息密度の低下、生息地の面積の減少、生息環境の悪化等)が生じた場合、その使用者は、その回復を図るために必要な措置(例えば生息環境の整備、人工増殖・再導入等)を行うことが求められます。
罰則も強化されていますので、遺伝子組換え生物等を使用等を行う場合には、カルタヘナ法に従った手続をするようにしてください。
弊所では、カルタヘナ法に関するご相談も承ります。
カルタヘナ法に関して何かありましたら、弊所まで是非お問い合わせください。
今日は以上です。
※補足議定書とは、「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書」をいう。