改正民法の施行日が決まりました!
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
2017年5月26日に成立した改正民法が、2020年4月1日から施行されることが決まりました。
法務省のプレスリリースはこちら
民法は、私人間の関係を規定する私法において基本となる法律ですが、債権法の部分については、1986年に制定されてから約120年もの間、ほとんど改正されていませんでした。
今回の改正は、債権法の部分に関して、制定以来、初めての大幅改正になります。
改正の内容としては、債権関係の規定について、取引社会を支える最も基本的な法的基礎である契約に関する規定が変更されます。
法務省民事局が作成した資料(民法(債権関係)の改正に関する説明資料-主な改正事項-)によると、主な改正事項は次のようになっています。
- 消滅時効に関する見直し
- 法定利率に関する見直し
- 保証に関する見直し
- 債権譲渡に関する見直し
- 約款(定型約款)に関する規定の新設
- 意思能力制度の明文化
- 意思表示に関する見直し
- 代理に関する見直し
- 債務不履行による損害賠償の帰責事由の明確化
- 契約解除の要件に関する見直し
- 売主の瑕疵担保責任に関する見直し
- 原始的不能の場合の損害賠償規定の新設
- 債務者の責任財産の保全のための制度
- 連帯債務に関する見直し
- 相殺禁止に関する見直し
- 弁済に関する見直し(第三者弁済)
- 契約に関する基本原則の明記
- 契約の成立に関する見直し
- 危険負担に関する見直し
- 消費貸借の成立要件の見直し
- 賃貸借に関する見直し
- 請負に関する見直し
ただし、施行日について、次の点の例外がありますので、注意してください。
- 定型約款に関する規定の適用に対する「反対の意思表示」について
- 施行日前(2020年3月31日まで)に反対の意思表示をすれば,改正後の民法は定型約款に適用されない。
知的財産に関するライセンス契約等の長期にわたる契約では、この民法改正を受けて、条項を修正する必要があるかもしれません。
たとえば、今回の民法改正では、法定利率と債権譲渡とに関して改正されています。
もし契約書に、支払いの延滞利息として、法定利率を適用する旨が規定されていた場合には、契約当初の条件と異なってしまう可能性があります。
また、改正民法が施行されると、譲渡制限特約※が無効になってしまいます。これによっても、契約当初の条件と異なってしまう可能性があります。
改正民法が適用されるまで、現時点(2017年12月)からするとあと2年半近くありますが、変更契約等をするには時間がかかることが多いです。
今から改正民法を考慮した行動を起こした方が良いのではないでしょうか?
ちなみに、弊所ではライセンス契約書等の知的財産に関する契約書の作成・修正・交渉もサポートしております。
何かありましたら、弊所に是非お問い合わせください。
今日は以上です。
※譲渡制限特約とは、債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の債権者・債務者間の特約をいう。
追記1:法務省が作成した資料のファイル名が変更されたので、それに合わせて修正しました(2017/12/20)
追記2:説明資料のリンク先が変更になったので、それに合わせてリンク先を修正しました(2018/3/23)
追記3:説明資料のリンク先が変更になったので、それに合わせてリンク先を修正しました(2018/6/2)