海外で外国企業から警告を受けた際に利用できる補助金をご存知ですか?
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
特許庁が、中小企業に対して、海外で産業財産権の紛争に巻き込まれた際にかかる費用の一部を助成する中小企業知的財産活動支援事業費補助金(防衛型侵害対策支援事業)をご存知ですか?
今回はこの補助金をご紹介します。
毎年特許庁が行っている事業(防衛型侵害対策支援事業)の1つですが、今年(平成29年度)も募集(JETROのHP)しています。
応募資格は、次の2つの要件を満たす必要があります。
まず、次の何れかの係争に該当している必要があります。
- 冒認出願等により係争対象国での産業財産権を現地企業(原則として日系企業を除く)に先取りされているため係争となっている。
- 係争対象国において無審査によって取得できる産業財産権が、出願日の前後を問わず、現地企業(原則として日系企業を除く)との間で並存しているため係争となっている。
- 係争対象国での産業財産権を保持しつつも、事業を実施していない現地企業(原則として日系企業を除く)から権利行使され、係争となっている。
さらに、次の7つの条件をすべて満たす必要があります。
- 中小企業基本法に基づく中小企業の要件を満たす法人であること
- 係争対象国で係争に関連する産業財産権を保持、もしくはその実施権を得ていること
(ただし、産業財産権を先取りされている場合には、係争の対象となっている産業財産権を日本で有していること) - 係争対象国で警告状又は訴状等の係争が始まったことを示す証拠があること
- ジェトロ以外の機関から、同様の補助を受けていないこと
- 本事業終了後3年の間に係争に係る進展があった場合は、ジェトロに対して報告義務を負えること
- ジェトロと常に連絡を取れる担当者が置けること
- 申請書類提出前、原則、申請者および弁護士等の代理人と、ジェトロ本部(東京)にて面談の機会を設けること
これらの条件を満たして、採択されると、支援期間中に行った係争費用(損害賠償・和解金を除く)の総額の2/3(上限500万円)に対して補助金が出ることになります。
なお、弁理士・弁護士への相談等訴訟前費用、訴訟費用、対抗措置、和解に要する費用なども補助金の対象となっています。
ただ、気をつけて欲しい点は、下記の図に記載されているように、費用を支払った後で補助金が支給されることです。すなわち、まず上記の費用を自己負担した後に補助金が支払われること(後払い)になりますので、資金繰りに注意してください(先払いと勘違いされている方もいます)。
この補助金の条件を見ると、比較的満たしやすいものになっていると思われます。
したがって、海外で外国企業から警告を受けた場合には、まずこの補助金の申請を行ってみては如何でしょうか?
知的財産に関する紛争は結構時間がかかりますので、この補助金申請を行ってからでも十分対応することができると思います。
外国で知的財産権に関する紛争に巻き込まれたら、是非この補助金を活用してください。
なお、受付期間が限定されていますので、注意してください。
JETROの応募受付期間(平成29年8月時点)は、
2017年10月31日まで
となっています。
弊所では、海外での知的財産権侵害に関するご相談も承ります。
何かありましたら、是非弊所にご相談ください。
今日は以上です。