公開前の特許出願でも日米協働調査の申請が可能になりました
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今回は、2016年8月1日から、出願公開前の特許出願でも日米協働調査の申請が可能になったことについて書きます。
日米協働調査とは、日米両国に特許出願した発明について、日米の特許審査官がそれぞれ調査を実施し、その調査結果と見解とを共有した後に、それぞれの特許審査官が、早期かつ同時期に最初の審査結果を送付するという制度です。
以前は、出願公開されたものしか審査対象にならなかったのですが、今後は公開前であってもこの制度の対象になるようです。
この制度改正により、日米の特許審査官が協働した調査結果を踏まえた、より強く安定した権利を、日米両国それぞれにおいて早期(申請から6月程度)にかつ同時期に得ることが可能になるとのことです。
日米両国で同時期に特許権を取得したいと考える企業は少ないかもしれませんが、早期に安定した権利を得ることができるのであれば、この制度を活用しても良いかもしれませんね。
ちなみに、日米協働調査を申請するには、次の条件を満たす必要がありますので、注意してください。
- 1出願あたり請求項総数20以内、独立請求項3以内であること。
- 全ての独立請求項に対し、相手庁において実質的に対応する独立請求項を有する対応出願があること。
- 審査着手前であること。
「審査着手前」とは、「特許庁長官又は特許庁の審査官による以下のいずれかの通知等が到達する前」を意味する。- 拒絶理由通知(特許法第50条)
- 特許査定の謄本(特許法第52条第2項)
- 明細書における先行技術文献開示義務違反の通知(特許法第48条の7)
- 同一発明かつ同日出願の場合の協議指令(特許法第39条第6項)
- 対応する独立請求項の最先の優先日が同じであること。
- 全ての出願の優先日あるいは出願日のうち、最先の日付が2013年3月16日以降であること。
- 日米協働調査の申請時に審査請求済であること(審査請求と同時に申請可能)。
- 申請は、1出願単位で行う。
- 事業戦略対応まとめ審査、早期審査及びスーパー早期審査を申請していないこと。
今日は以上です。
※日米協働調査試行プログラムのURLが変更になったので、それに合わせてリンク先を修正(2022/1/2)