中小企業の知的財産戦略を考える際に役立つ資料2
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今回は中小企業が海外進出した際に、海外で知的財産訴訟等になるべく巻き込まれないようにするために役立つ資料(中小企業向け海外知財訴訟リスク対策マニュアル)を紹介します。
この資料は特許庁が取りまとめたもので、「現在海外展開を検討している、もしくは、準備を進めようとしている中小企業の皆様に、知的財産にまつわる『リスクに自ら気づき』、『必要な予防』のヒントを紙面の限りとりあげました。」と”本書のねらい”に記載されているように、「進出前」「進出判断時」「進出時」に分け、多数の事例が掲載されています。
この資料の素晴らしいところは、単に事例を紹介しているだけでなく、”解決策”や”専門家による解説”、さらには”関連資料・参考データ”が掲載されているところです。
たとえば、2-1①の「不用意に情報(サンプルや図面等)を相手に渡してしまったために、先に出願されてしまった。」という事案に対して、次のような解決策や、専門家による解説が記載されています。
解決策:図面やサンプルを渡す前に秘密保持契約を結んでおけばよかった
専門家による解説:外国の企業に対しては、秘密保持契約締結は役に立たない場合があることに注意が必要です。
具体的な内容についてはこの資料で直接確認していただくとして、単なる通り一辺倒な説明ではなく、実務的な助言まで記載されているので、海外進出を考えている企業にとって役立つ資料だと思います。
なお、53ページには、チェックリストも掲載されていますので、まずはこのチェックリストから使い始めてみるのもいいと思います。
進出前または進出判断時のビジネスの状況におうじて、知的財産トラブルにつながる出来事をチェックすることができます。
海外展開に向けた活動の中に潜む「知的財産リスク」をチェックして、大きなトラブルになってしまう前に、未然に防ぎましょう!
TPPや日本の人口減少等を考えると、企業が生き残る方法として海外進出を考えることも多いと思います。
海外進出にはさまざまなトラブルが発生すると思いますが、知財に関するトラブルについては、このマニュアルを活用してリスクを低減してください。
今日は以上です。