共同研究契約書を検討する際に役立つ資料10
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今回は、先日の日本における職務発明に関する資料に引き続き、ASEAN諸国の企業や大学等と共同研究契約を締結する際に重要となる職務発明制度に関する資料(ASEAN各国における職務発明制度等に関する調査)をご紹介します。←ダウンロードできなくなりました
日本では昨年職務発明に関する法改正があり今後の実務について注視する必要がありますが、ASEAN諸国の企業や大学等と共同研究をする場合にも職務発明制度について注意を払う必要があります。
現地の法律に職務発明制度のようなものが定められている場合には、それが適用されることになりますが、現地の法律に定められていない場合には、発明の帰属等について契約で取り決めることになります。
したがって、まずは現地に職務発明制度があるか否かを調べる必要があります。
そのときに、上記の資料が役立ちます!
この資料をざっと見ると、ASEAN諸国のうち、ミャンマー以外は職務発明制度が存在するようです。
さらに、この資料には、各国の職務発明制度の概要が記載されており、例えばタイでは原則として使用者等が発明の特許を出願する権利を有するとされているようです。
この他に、発明報奨制度の法令と実態についても記載されており、例えばタイでは、日本と同様に職務発明をなした場合に受けることができる相当の対価についての規定があるそうです。
一方、シンガポールでは、発明報奨についての規定はなく、発明報奨金等を支払う運用もなされていないそうです。
ちなみに、発明報奨金は、運用によっては莫大な額になる可能性があるので、この制度がない国の企業等と共同研究した方がリスクは低くなりますね!
このように単に法律の規定だけでなく、貴重な運用実態まで記載されていますので、ASEAN諸国の企業や大学等と共同研究を行うか否か判断する際の基礎資料として利用してみては如何でしょうか?
また、職務発明制度だけでなく、職務創作制度(意匠)に関する記載もありますので、より広い業種の企業の方に役立つものと思います。
なお、今回紹介した資料は2012年の調査に基づくものですので、その後に法改正された事項は反映されていませんので、ご留意ください。
なお、共同研究契約等に不安がある方は、弊所にご相談ください。
今日は以上です。
PS:2017年8月時点で資料をダウンロードできなくなっていることを追加