ライセンス契約書を作成する際に役立つ資料21

ライセンス契約書を作成する際に役立つ資料21

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

今回は租税条約を適用する際に役立つ資料(租税条約に関する届出(使用料に対する所得税及び復興特別所得税の軽減・免除))を紹介します。

租税条約という条約を知っていますか?
簡単に言うと、「日本企業・個人が海外で得た所得に対する“国際的二重課税”」を回避するための条約です。

世界地図のイラスト普段は意識することはないと思いますが、外国企業とのライセンス契約では考慮すべき条約になります。

この条約に関する手続きをすることによって、国際的二重課税を回避することができ、節税することができます。

例えば日本企業と米国企業との間でライセンス契約を締結し、米国企業から日本企業にライセンス料を支払ってもらうという状況を想定します。

日米租税条約に関する手続をしないと、米国企業は日本企業に支払うライセンス料に対して源泉徴収(米国)をしなければなりません。
そして、日本企業は米国企業から支払われたライセンス料に対して法人税等が課税(日本国)されることになります。

一方、日米租税条約に基づく手続をすると、米国企業は日本企業に支払うライセンス料について課税されなくなり、日本企業のみが米国企業から支払われたライセンス料に対して法人税等が課税(日本国)されることになります。
(日米租税条約ではこのような税関係になりますが、適用される税は租税条約の内容ごとに異なりますのでご注意ください。)

このように、租税条約に関する手続をすることによって、国際的二重課税を回避することができるのです。

ただし、日本との間で租税条約を締結していなければ、このような節税はできませんので注意してください。

日本との間で租税条約を締結している国は、財務省のこのURLで確認することができます。
(租税条約の条文を確認することもできます。)

租税条約に基づく手続は、比較的簡単なものが多いので、外国企業とのライセンス契約を締結する際には是非検討することをお勧めいたします。

ちなみに、外国企業から、租税条約に基づく手続をする旨の条項をライセンス契約に入れて欲しいと言われることもありますよ。

弊所では、租税条約の適用を含めたライセンス交渉・契約書のご相談も承ります。
ライセンス交渉・契約に不安がある方は、是非弊所にご相談ください。

今日は以上です。

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