租税回避地を利用した節税対策に待った!
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今回は、租税回避地を利用した節税対策に待った!がかかりそうということについて書きたいと思います。
昨年の今頃、多国籍企業の課税逃れ問題がマスコミで話題になっていたことを記憶している人も多いと思います。
この多国籍企業の課税逃れ問題とは、多国籍企業がケイマン諸島やバミューダなど税率の低い租税回避地(タックスヘイブン)につくった子会社に特許等を譲渡し、本来課されるべき使用料(ライセンス料)やロイヤルティー収入などに対する本社所在国の課税を回避してしまうというものです。
このような問題に対して、経済協力開発機構(OECD)が対策を検討していましたが、今般新たな国際ルールが決まったので、9月のOECD租税委員会で承認し、2015年11月に開催する20カ国・地域(G20)サミットで採択される見通しのようです。
その国際ルールの内容は、「特許等の譲渡対価への課税を、譲渡後の価値に応じて一定期間にわたり追徴できる」というものだそうです。
日本では、このルール(税制)は既に導入済みで、日本に本社のある企業が法人税率20%未満の国に実体のない子会社を作っていると課税当局が判断した場合に、この子会社の利益に対しても課税できるようになっています(タックスヘイブン対策税制)。
そして、2015年11月のサミットで採択されれば、他のOECD加盟国でも同様の制度が導入されることになります。
多額の収益が上がっている多国籍企業であるからこそ、上述した節税対策ができたのですから、税負担の公平性の観点からすると、今回の国際ルールは妥当なものなのかもしれません。
このように、税とは無関係と思われる知的財産権であっても場合によっては、税制と関わってくることがありますので、税と知的財産権との関係で不明な点がありましたら、弊所にご相談ください。
今日は以上です。