山口大学の特許無料開放について
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今回は、山口大学が、2015年10月から最大5年間(大企業は3年間)、特許を無料開放するというニュースについて書きたいと思います。
山口大学といえば、知的財産について積極的に取り組んでいる大学として知られています。
その山口大学が、創基200周年を記念として、特許を無料開放すると発表しました。
文部科学省からの資金的な支援がなくなり、財政的に大変な状況の国立大学が、社会貢献と地域活性化を支援するために、このような方針を打ち出すことは大変すばらしいことだと思います。
ただ、この発表に関し、技術移転活動に携わった者の一人として、大切なことが抜けているのではないかと思います。
それは、特許に関する技術について、きちんと技術移転を行ってくれるかという点です。
もちろん、企業側からすれば、本来発生することになる実施料(ライセンス料)を支払わなくて済むという発表は歓迎すべきことだと思います。
しかし、実施料云々の前に、特許に関する技術をきちんと企業に移転してもらえるのかが、まずは重要ではないかと思います。
企業としては、そもそも、その特許明細書に記載されている技術を実施できるようにならなければ、ライセンス料の話は意味がないのではないでしょうか?
もちろん、企業によっては、基礎技術を既に持っており、大学からの技術移転を受けなくても特許発明を実施できるところもあると思います。
ただ、数百案件にも及ぶ、大学等のライセンス契約に関する契約を行ってきた経験からすると、そのような企業はほとんどないのではないかというのが実感です。
したがって、有償・無償にかかわらず、大学等から特許等の実施許諾(ライセンス)を受ける場合には、その特許等に関する技術について、共同研究を含めて支援してもらえるかどうか確認すべきだと思います。
もし、大学等からの技術移転について相談したいことがありましたら、遠慮なく弊所HPの「お問い合わせ」をクリックして、お問い合わせください!
また、ライセンス契約等に不安がある方は、弊所にご相談ください。
今日は以上です。