こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
2024年7月25日に、「PCT国際調査及び予備審査ハンドブック」が改訂されましたので、今回はそれについて書きます。
「PCT国際調査及び予備審査ハンドブック」はこちら
ちなみに、2024年7月の改訂内容は、形式的なものとなっています。
このハンドブックは、国際調査機関および国際予備審査機関としての我が国特許庁における審査官業務の適正かつ円滑な運用を促進させると共に、その手続の透明性及び予見性を一層向上させることを目的として作成されています。
特許協力条約(Patent Cooperation Treaty, PCT)に基づく国際特許出願が年々増えて来ており、PCT制度の重要性が増してきています。
国際特許出願に関する手続については、特許法第184条の3~第184条の20や、特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律等に規定されていますが、条文の読み替えや引用が多く、非常に分かりにくい条文となっています。
そのため、条文から国際特許出願に関する手続を調べるのは非常に大変でした。
そこで、PCT制度を理解する際に、今回ご紹介する「PCT国際調査及び予備審査ハンドブック」(PCTハンドブック)が役立ちます。
さて、このガイドブックの目次ですが、次のようになっています。
- PCT 制度の基礎的事項
- PCT の沿革
- PCT の成立
- PCT 制度改正の経緯
- PCT 制度の特徴
- PCT における優先権制度
- パリ条約に基づく優先権
- 自己指定された国際出願における優先権(国内優先権)
- 優先日
- 優先権書類の提出
- PCT で規定される官庁・機関
- 国際事務局(IB)
- 受理官庁(RO)
- 国際調査機関(ISA)
- 国際予備審査機関(IPEA)
- 指定官庁(DO)
- 選択官庁(EO)
- RO、ISA 及びIPEA の管轄
- 管轄RO
- 管轄ISA
- 国際調査のための翻訳文
- 管轄IPEA
- 国際予備審査のための翻訳文
- JPO における管轄
- PCT 制度に関する条約・国内法令等
- PCT 制度に関する条約、規則、ガイドライン等
- 日本国におけるPCT 制度に関する法令
- PCT 国際出願に関する手続の全体像
- RO での手続
- 方式要件の点検
- 手数料の納付確認
- IB 及びISA への国際出願の送付
- 国際調査段階
- ISR 及びISA 見解書の作成
- ISR 及びISA 見解書の利用
- 19条補正及び非公式コメント
- 19 条補正
- 非公式コメント
- 国際公開
- 国際公開の時期
- 国際公開の言語
- 国際公開の内容
- 国際公開の効果
- ISA 見解書及び非公式コメントの第三者への提供
- 国際予備審査段階
- 国際予備審査の請求
- 34 条補正及び答弁書
- IPEA 見解書
- IPER の作成
- IPER の利用
- 国内段階移行
- 国内段階移行手続
- IB からDO 又はEO への送達
- 国内段階における審査
- PCT の沿革
- 国際調査業務
- 序論
- 国際調査の目的
- 国際調査段階の手続の全体像
- 優先日・基準日
- 最小限資料(Minimum Documentation)
- 秘密保持
- 国際調査段階における審査官の具体的な業務手順
- 国際調査開始に当たっての検討
- スケジュールの確認
- 書誌的事項の確認
- 国際調査の基礎の確認
- 「先の調査等の結果の利用」に関する検討
- 国際調査における除外対象の検討
- 国際調査段階において作成すべき書類の確認
- 中間指令に関する検討
- 追加手数料の納付命令(発明の単一性)
- 明らかな誤りの訂正請求命令
- 使用してはならない表現等に関する通知
- 配列表の提出命令
- 国際調査における調査対象の決定
- 先行技術調査
- 先の調査等の結果の利用
- 先行技術調査の実施
- 先行技術調査の終了
- ISR 及びISA 見解書の作成に当たっての検討
- 共通の検討事項
- ISR に関する検討事項
- ISA 見解書に関する検討事項
- ISR の作成要領
- ISA 見解書の作成要領
- ISR 等の送付の通知書(ISA/220)の作成要領
- ISR 及びISA 見解書の作成完了後の業務
- 序論
- 国際予備審査業務
- 序論
- 国際予備審査の目的
- 国際予備審査段階の手続の全体像
- 秘密保持
- 国際予備審査段階における審査官の具体的な業務手順
- 国際予備審査開始に当たっての検討
- スケジュールの確認
- 書誌的事項の確認
- 国際調査の結果の考慮
- 国際予備審査の基礎についての検討(補正及び訂正に関する検討)
- 国際予備審査における除外対象の検討
- 国際予備審査段階において作成すべき書類の確認
- 中間指令に関する検討
- 請求の範囲の減縮又は追加手数料の納付命令(発明の単一性)
- 明らかな誤りの訂正請求命令
- 配列表の提出命令
- 国際予備審査における審査対象の決定
- トップアップ調査
- IPEA 見解書を作成するか否かの検討
- IPEA 見解書又はIPER の作成に当たっての検討
- IPEA 見解書の作成要領
- IPER の作成要領
- IPER の附属書類の添付
- 特許性に関する国際予備報告(特許協力条約第二章)(IPRP(II))の送付の通知書(IPEA/416)の作成要領
- IPEA 見解書又はIPER の作成完了後の業務
- IPEA 見解書の作成完了後の業務
- IPER の作成完了後の業務
- 序論
- 国際段階における実体的要件の判断基準
- 調査・審査における除外対象
- 調査・審査をすることを要しない対象
- 明細書、請求の範囲又は図面が記載要件を満たさない結果、有意義な調査・審査を行うことができない発明
- 入手可能な配列表が存在しないため、有意義な調査・審査を行うことができない発明
- ISR が作成されていない発明
- 発明の単一性
- 先行技術(新規性及び進歩性の判断の根拠となる開示)
- 新規性
- 進歩性
- 産業上の利用可能性
- 明細書及び請求の範囲の記載要件
- 補正
- 優先権
- 調査・審査における除外対象
- 国際段階におけるその他の業務
- 先の調査等の結果の利用(番外2)
- 追加手数料の納付命令
- 国際調査段階における追加手数料の納付命令(ISA/206)
- 国際予備審査段階における請求の範囲の減縮又は追加手数料の納付命令(IPEA/405)
- 国際調査段階における追加手数料異議の決定(ISA/212)
- 国際予備審査段階における追加手数料異議の決定(IPEA/420)
- 出願人との面接等の応対
- 国際調査における非公式な明確化(ISA/207)
- 国際予備審査における出願人との非公式な連絡(IPEA/428・IPEA/429)
- 明らかな誤りの訂正
- 明らかな誤りの訂正請求命令(ISA/216・IPEA/411)
- 明らかな誤りの訂正請求についての決定(ISA/217・IPEA/412)
- 配列表
- 配列表の確認
- 配列表提出命令
- ISR 等における配列表についての記載事項
- ISR を作成しない旨の決定(ISA/203)
- 使用してはならない表現等に関する通知(ISA/218)
- ISR の送付後における要約の修正(ISA/205)
- 優先権の主張の基礎となる先の出願の翻訳文の提出命令(IPEA/414)
- 見解書に対する応答期間の延長(IPEA/427)
- 補正を考慮しないことの通知(IPEA/432)
- ISR の発送前又は発送から2 月以内に国際予備審査が請求された場合の取扱い
- 補充及び引用補充
- 優先権の主張についての確認
- 優先権の主張の補充等の確認
- 先の出願の出願日から国際出願日までの期間の確認
- 新規性喪失の例外に関する申立て
- 第三者情報提供制度
- 別紙A 引用文献のカテゴリー
- カテゴリーの定義
- 日本国において拒絶理由の根拠となり得る発明等の取扱い
- 別紙B 引用文献の記載要領
- 特許文献
- 非特許文献
- 書籍
- 定期刊行物の記事
- 標準関連文書
- インターネットから得られた一次文献情報
- オンライン・データベースから得られた二次文献情報
- 日本語の非特許文献を引用する際の留意事項
- 別紙C 補正が行われた場合の国際予備審査の基礎の決定
- 基本的な考え方
- 事例
- 請求の範囲について補正が行われた場合
- 例1:補正後の請求の範囲に新規事項が追加されていない場合
- 例2:補正後の請求の範囲に新規事項が追加されている場合
(補正前の同じ番号の請求項が存在する場合(1)) - 例3:補正後の請求の範囲に新規事項が追加されている場合
(補正前の同じ番号の請求項が存在する場合(2)) - 例4:補正後の請求の範囲に新規事項が追加されている場合
(補正前の同じ番号の請求項が存在する場合(3)) - 例5:補正後の請求の範囲に新規事項が追加されている場合
(補正前の同じ番号の請求項が存在する場合(4)) - 例6:補正後の請求の範囲に新規事項が追加されている場合
(補正前の同じ番号の請求項が存在しない場合) - 例7:補正後の請求の範囲に新規事項が追加されている場合
(補正前の請求項が他の請求項を引用している場合(1)) - 例8:補正後の請求の範囲に新規事項が追加されている場合
(補正前の請求項が他の請求項を引用している場合(2))
- 明細書について補正が行われた場合
- 例9:補正後の明細書に新規事項が追加されていない場合(1)
- 例10:補正後の明細書に新規事項が追加されていない場合(2)
- 例11:補正後の明細書に新規事項が追加されている場合(1)
- 例12:補正後の明細書に新規事項が追加されている場合(2)
(補正後の明細書の同一ページ中に実体的要件を満たす補正と満たさない補正の両方が含まれる場合) - 例13:補正後の明細書のページが削除されている場合
- 図面について補正が行われた場合
- 例14:補正後の図面に新規事項が追加されていない場合
- 例15:補正後の図面に新規事項が追加されている場合(1)
- 例16:補正後の図面に新規事項が追加されている場合(2)
- 請求の範囲について補正が行われた場合
- 別紙D IPER の附属書類の添付に関する事例
- 請求の範囲について補正が行われた事例
- 例1:請求の範囲についての補正書が1 回のみ提出されており、当該補正書による全ての補正が実体的要件を満たす場合
- 例2:請求の範囲についての補正書が1 回のみ提出されており、当該補正書に実体的要件を満たさない補正が含まれる場合
- 例3:請求の範囲についての補正書が2 回提出されており、それらの補正書による全ての補正が実体的要件を満たす場合
- 例4:請求の範囲についての補正書が2 回提出されており、先の補正書に実体的要件を満たさない補正が含まれる場合
- 例5:請求の範囲についての補正書が2 回提出されており、後の補正書に実体的要件を満たさない補正が含まれる場合
- 例6:請求の範囲についての補正書が2 回提出されており、両方の補正書に実体的要件を満たさない補正が含まれる場合
- 明細書について補正が行われた事例
- 例7:明細書についての補正書が1 回のみ提出されており、当該補正書による全ての補正が実体的要件を満たす場合
- 例8:明細書についての補正書が1 回のみ提出されており、当該補正書に実体的要件を満たさない補正が含まれる場合
- 例9:明細書についての補正書が2 回提出されており、それらの補正書による全ての補正が実体的要件を満たす場合(1)
- 例10:明細書についての補正書が2 回提出されており、それらの補正書による全ての補正が実体的要件を満たす場合(2)
- 例11:明細書についての補正書が2 回提出されており、後の補正書に実体的要件を満たさない補正が含まれる場合(1)
- 例12:明細書についての補正書が2 回提出されており、後の補正書に実体的要件を満たさない補正が含まれる場合(2)
- 例13:明細書についての補正書が2 回提出されており、両方の補正書に実体的要件を満たさない補正が含まれる場合
- 図面について補正が行われた事例
- 例14:図面についての補正書が1 回のみ提出されており、当該補正書による全ての補正が実体的要件を満たす場合
- 例15:図面についての補正書が1 回のみ提出されており、当該補正書に実体的要件を満たさない補正が含まれる場合
- D.4 明らかな誤りの訂正請求書が提出された事例
- 例16:明らかな誤りの訂正請求書のみが提出された場合
- 例17:請求の範囲についての補正書の提出後に明らかな誤りの訂正請求書が提出された場合
- 例18:明細書についての補正書の提出後に明らかな誤りの訂正請求書が提出された場合
- 請求の範囲について補正が行われた事例
この目次を見て分かるように、細かい事項まで詳しく記載されています。
たとえば、特許協力条約等に規定されていない非公式コメントについても次のような事項が記載されています。
- 非公式コメントの提出先及び提出ができる期間
- 非公式コメントの形式
- 非公式コメントのDOへの送付及び取扱い
- 非公式コメントの第三者への提供
PCT制度について調べる際には、まずこの資料に当たってみては如何でしょうか?
特許庁が作成していますので、信頼できる資料ですよ。
弊所では、PCT出願および各国移行手続のご相談も承ります。
何かありましたら、弊所に是非お問い合わせください。
今日は以上です。