こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
今年度も2024年6月13日に「独占禁止法に関する相談事例集」の令和5年度版が公表されましたので、今回はこれをご紹介します。
「独占禁止法に関する相談事例集(令和5年度)」はこちら
独占禁止法に関する相談事例集は、公正取引委員会が毎年公表しているもので、今回ご紹介するものものは、令和4年度に受けた相談事例をまとめたものになります。
相談事例集には、知的財産に関係する事例が毎回収録される訳ではありませんが、今回は知的財産に関係する事例が収録されていましたので、それについてご紹介ます。
相談事例1
輸送用機械メーカーによる二酸化炭素を排出しない燃料を使用する新技術のための共同研究
公正取引委員会は、この相談に関し、次の点について、独占禁止法上問題となるか判断しています。
輸送用機械メーカー4社が、共同して技術研究組合を設立し、当該組合において二酸化炭素を排出しない燃料を使用する新技術に関する基礎研究を共同して実施し、研究成果を共有することについて
この点について、公正取引委員会は、
- 我が国における輸送用機械Aの製造販売分野における4社の市場シェアの合計は約 90%に上ることを考慮しても、本件取組によって本件新技術に係る技術市場又は輸送用機械Aに係る製品市場における競争が実質的に制限されることにはならない。
- 本件取組によって4社以外の輸送用機械Aメーカーが本件新技術に係る技術市場又は輸送用機械Aに係る製品市場から排除されることにはならない。
と認定し、「本件取組は独占禁止法上問題となるものではない。」と評価しています。
この事例は、多数事業者間での共同研究開発を行う際に役立つ情報だと思います。
弊所では、共同研究契約等に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。