こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
以前のブログで、不正競争防止法の逐条解説無料で入手できることを書きましたが、現時点(2024年5月現在)における最新版の「不正競争防止法の逐条解説(令和6年4月1日施行版)」が公表されましたので、今回はこれについて書きます。
「不正競争防止法の逐条解説(令和6年4月1日施行版)」はこちら
「不正競争防止法」とは、知的財産に関係する法律の1つで(知的財産基本法2条1項)、事業者間の公平な競争等を確保することにより、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするものです(不競法1条)。
この法律は、特許法や商標法のように、知的財産権(特許権、商標権等)を付与するという形式(権利付与法という形式)をとっておらず、不正競争を規定し、それを規制するという形式をとっています。
(この他にも、外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止等、いろいろな行為が規定されています。)
さて、この逐条解説には、次の改正を含む令和5年改正までの法改正が反映されています。
- 他人の商品の形態を模倣した商品の提供行為について、デジタル空間上の商品形態模倣品の提供行為(「電気通信回線を通じて提供」する行為)も不正競争の対象とした。
- 平成30年改正で導入された「限定提供データ」について、ビッグデータを秘密管理している場合も限定提供データとして保護を受けられるようにした。
- 損害賠償額算定規定に関し、対象情報を営業秘密全般に拡充し、データや役務を提供する場合にも拡充するとともに、令和元年の特許法等の改正に倣い、被侵害者の生産能力等を超える損害分も使用許諾料相当額として増額請求できるなど規定を整備した。
また、営業秘密の使用等の推定規定に関し、適用対象について元々アクセス権限のある者(元従業員など)や不正な経緯を知らずに転得したが、その経緯を事後的に知った者にも、悪質性が高いと認められる場合に限り拡充した。 - コンセント制度による登録を受けた登録商標の不正競争防止法の適用除外規定を追加した。
- OECD外国公務員贈賄防止条約をより高い水準で的確に実施するため、自然人及び法人に対する法定刑を引き上げるとともに、日本企業の外国人従業員による海外での単独の贈賄行為も処罰対象とした(両罰規定により、法人も処罰対象となることを明確化)。
- 国際的な営業秘密侵害事案における手続を明確にするため、日本国内において事業を行う営業秘密保有者の営業秘密であって日本国内で管理されているもの(当該営業秘密が専ら日本国外の事業の用に供されるものである場合を除く。)の侵害が日本国外において発生した場合にも、日本の裁判所に訴訟を提起でき、日本の不正競争防止法が適用されることとした。
不正競争防止法は、特許法等の知的財産権法を補填するような側面を有する法律です。
知的財産権法では対応できない場合であっても、不正競争防止法で対応できる可能性があります。
そのような場合には、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。