裁判外紛争解決手段(ADR)に関する改正法が施行されました(2024)

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

令和6年4月1日から、裁判外紛争解決手段(ADR)に関する改正法が施行されましたので、今回はこれについて書きます。

裁判外紛争解決手段(ADR)に関する改正法 トップ画像
引用:法務省HP

裁判外紛争解決手段(ADR)に関する改正法に関するWebページはこちら

令和5年4月21日に、仲裁法の一部を改正する法律、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の実施に関する法律、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律が成立しましたが成立しました。

裁判外紛争解決手段(ADR)に関する改正法の内容
引用:法務省HP

この改正法には、次の制度の創設等が含まれています。

  1. 暫定保全措置命令に基づく強制執行を可能とする制度の創設等
    1. 仲裁判断までの間に権利・証拠を保全するための仲裁廷の命令(暫定保全措置命令)に基づく強制執行が可能
    2. 仲裁判断に基づき強制執行を申し立てるために必要な裁判所の手続(執行決定の手続)において、裁判所が相当と認めるときに、仲裁判断書の翻訳文(日本語)の添付が不要
    3. 仲裁判断に基づき強制執行を申し立てるために必要な手続(執行決定の手続)等を、東京地裁・大阪地裁にも申し立てることが可能
  2. 調停による和解合意に基づく強制執行を可能とする制度の創設
    1. 国際的な調停において成立した和解(国際和解合意)に基づく強制執行が可能
    2. 我が国の認証紛争解決事業者が行う調停において成立した和解(特定和解)に基づく強制執行が可能
裁判外紛争解決手段(ADR)に関する改正
引用:裁判外紛争解決手段(ADR)に関する改正 ポスター

改正法の内容を見ると、国が仲裁や調停を利用しやすくしようとしていることが分かると思います。

これらの改正のうち、個人的には、国際的な調停において成立した和解(国際和解合意)に基づく強制執行が可能になった点が気になります。

調停により和解(合意)した内容を強制執行できることは、調停を選択するインセンティブになるかもしれません。

なお、日本人は、仲裁や調停よりも裁判を志向すると言われたりしますが、今後は仲裁や調停が増えていくかもしれませんね。

弊所では、知的財産関連の仲裁や調停のご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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