商標審査基準が改訂されました(2024)

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

令和6年2月に、商標審査基準が改訂されたので、今回はこれについて書きます。

商標審査基準〔改訂第16版〕 表紙
引用:商標審査基準〔改訂第16版〕

特許庁のプレスリリースによると、改訂された商標審査基準〔改訂第16版〕の改訂のポイントは次の8点となっています。

  1. 第4条第4項
    第4条第4項の新設に伴い、第4条第1項第11号に該当する商標であっても、先行登録商標権者の承諾を得ており、かつ、先行登録商標と出願商標との間で混同を生ずるおそれがないものについては、併存登録が認められることになった。そのため、「承諾」や「混同を生ずるおそれがない」ことの判断方法等について同項の審査基準を作成
  2. 第8条
    第4条第4項の新設に伴い、同日出願の場合であってもコンセント制度によって併存登録できるようになったため、「承諾」や「混同のおそれがない」ことの判断方法は同項の基準を準用する旨の記載を同条の審査基準に追記
  3. 第4条第1項第8号
    第4条第1項第8号における「他人の氏名」に一定の知名度の要件と、出願人側の事情を考慮する要件(政令要件)が課されることになったため、同号の審査基準に、一定の知名度の要件に関する項目と政令要件の項目をそれぞれ追記し、一定の知名度の要件を判断する際の留意点や政令要件の具体例を明示
  4. 第3条第1項柱書
    6.(7) : 国際分類の改訂に伴う修正をしました。11.(1)(ウ) : 明確化を目的とした修正
  5. 第4条第1項第18
    号改正条文(不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(令和5年11月29日政令第338号))に差し替え
  6. 第6条
    国際分類の改訂に伴う修正をしました。
  7. 第68条の9、10、11、12、13、15、16、17、18、20及び28
    改正法の条文に差し替え
  8. その他
    改正法の条文に対応する修正

商標4条4項は、いわゆるコンセント制度を規定しています。

そして、商標4条4項の解説には、各用語の解釈等が解説されています。例えば、「混同を生ずるおそれがない」に該当するか否かについては、次のような事項について、両商標に関する具体的な事情を総合的に考慮して判断すると記載されています。

  1. 両商標の類似性の程度
  2. 商標の周知度
  3. 商標が造語よりなるものであるか、又は構成上顕著な特徴を有するものであるか
  4. 商標がハウスマークであるか
  5. 企業における多角経営の可能性
  6. 商品間、役務間又は商品と役務間の関連性
  7. 商品等の需要者の共通性
  8. 商標の使用態様その他取引の実情

条文だけでは、具体的に判断できない場合の基準として、審査基準は重要は書類になりますので、商標の実務に関わっている方は一度目を通しておいた方がいいと思います。

あと、弁理士試験受験生も是非目を通してください!
筆記試験の解答に、商標の類否に関する具体例の記載を求められるかもしれませんよ(現在は知らないのですが、昔は求められることがありました)。

なお、改訂された商標審査基準(商標審査基準〔改訂第16版〕)は、令和6年4月1日以降の出願に適用されています。

弊所では、商標登録出願に関するご相談も承っております。
商標に関しまして何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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