こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
特許庁から「令和5年 特許法等の一部改正 産業財産権法の解説」が公表されていますので、今回はこれについて書きます。
「令和5年 特許法等の一部改正 産業財産権法の解説」はこちら
以前のブログでもご紹介しましたが、産業財産権法の一部が改正されると、その解説書が発行されると共にそのデータが特許庁のWebサイトに公表されます。
産業財産権法(工業所有権法)の解説とは、主に産業財産権法(特許法・実用新案法・意匠法・商標法)に関する法改正があった時に、その改正について管轄官庁である特許庁の公式見解をまとめた資料(いわゆる改正法本)です。
今回の解説は、令和3年に改正された次の項目に関し、特許庁の公式見解が解説されています。
- はしがき
- 凡例
- 目次
- 序章
- 第1章 優先権証明書のオンライン提出のための規定整備
- 第2章 裁定における営業秘密を含む書類の閲覧制限
- 第3章 国際郵便引受停止等に伴う公示送達の見直し
- 第4章 出願審査請求料の減免制度の見直し
- 第5章 意匠の新規性喪失の例外規定の適用手続の要件緩和
- 第6章 他人の氏名を含む商標に係る登録拒絶要件の見直し
- 第7章 商標におけるコンセント制度の導入
- 第8章 e-Filingによる商標の国際登録出願の手数料納付方法の見直し
- 第9章 オンライン送達制度の見直し
- 第10章 書面手続のデジタル化(申請)のための改正
- 条文索引
- 解説書掲載担当者
今回の改正で実務的に大きな影響があるのは、「商標におけるコンセント制度の導入」だと思います。
今回の改正により、「商標法第4条第1項第11号に該当する商標であっても、先行登録商標の権利者の同意に加え、両商標の間で出所混同のおそれが生じないと認められる場合には、併存登録を認める」ということになりました。
改正前は、商標法第4条第1項第11号は、他人の登録商標又はこれに類似する商標であって、当該商標に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似するものについて商標登録出願をした場合には、商標登録を受けることができませんでした。
ところが、今回の改正により、
商標第4条第1項第11号に該当する商標であっても、先行登録商標の権利者の承諾を得ており、かつ、当該先行登録商標について登録時に指定していた商品・役務ではなく、実際に当該商標が使用されている商品・役務との間で出所混同を生ずるおそれがないものについては、商標登録できることになりました。
今後は、このコンセント制度を活用した商標登録が増えてくるかもしれませんね。
ちなみに、「令和5年 特許法等の一部改正 産業財産権法の解説」は、書籍化されました。次のURL(amazon)から購入可能です。
弊所では、コンセント制度を活用した商標登録に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です
※「令和5年 特許法等の一部改正 産業財産権法の解説」が書籍化されたので、そのリンクを追加(2024/4/10)