こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
令和5年度(2023年)も海外模倣品対策にかかる費用の2/3を補助する支援事業が開始されましたので、今回はこれについて書きます。
この支援事業の正式名称は、令和5年度中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金(中小企業等海外侵害対策支援事業)といいます。
中小企業等海外侵害対策支援事業はこちら
この支援事業に採択されると、次の経費に対して、補助率:2/3、補助上限:400万円の補助金が交付されます。
- 模倣品の製造元や流通経路等を把握するための侵害調査
- 調査結果に基づく模倣品業者に対する警告文作成、行政摘発、取り締り(※なお行政摘発、取り締りについて、特許権・実用新案権・意匠権は中国のみが対象国となります。)
- 調査結果に基づく税関登録、関税差止請求等、模倣品が販売されているウェブサイトの削除申請
- 代理人費用(調査会社等)
ただし、この助成を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。
- 「中小企業者」又は「中小企業者で構成されるグループ」(構成員のうち中小企業者が 2/3 以上を占める者)ただし、みなし大企業を除く。
- 「地域団体商標」の模倣被害については、商工会議所、商工会、NPO法人等が対象。
- 対象国において、特許、実用新案、意匠、商標の権利を保有していること。
- 対象国において、権利侵害の可能性を示す証拠があること。
加えて、次の7つの条件をすべて満たす必要があります。
- 中小企業支援法に基づく中小企業の要件を満たす法人であること又は「中小企業者で構成されるグループ」(構成員のうち中小企業者が2/3以上を占めるもの)。
- 調査及び権利行使等実施国において、対象製品に関する特許権、実用新案権、意匠権、商標権を保持しているか、ライセンス許諾を受けていること。
- 対象国における権利侵害の可能性を示す証拠があること。
- ジェトロ以外の機関から同様の助成を受けていないこと。
- 調査・摘発後実施後3年の間に権利行使などの進展があった場合は、ジェトロに対する報告義務を負えること。
- ジェトロと常に連絡を取れる担当者を置けること。
- 原則、ジェトロと面談の機会を設けること。
応募受付期限:2023年10月31日(火曜)17時00分厳守
このような補助金は、予算枠が無くなった時点で募集を終了することになりますので、上記条件に当てはまり、かつ模倣品対策を行おうと考えている企業は、早めに申請を行った方が良いと思います。
なお、この補助金は、下図に記載されているように、まずジェトロが調査会社等に対して経費の全額を支払い、その後に経費の一部をジェトロに支払うことになっています。すなわち、費用が後払いとなっているので、非常にありがたいですね!
このようなスキームであれば、模倣品対策費用の資金繰りに困ることないと思います。
海外で模倣品が出回るという状況は好ましくはありませんが、このような事態になった時には是非この補助金を活用してください。
弊所でも、海外での権利侵害に関するご相談も承っております。
何かありましたら、是非弊所にご相談ください。
今日は以上です。