令和4年12月に、「農林水産研究における知的財産に関する方針」が改訂されましたので、今回はこれについて書きます。
「農林水産研究における知的財産に関する方針(令和4年12月改訂)」はこちら
「農林水産研究における知的財産に関する方針」は、我が国の農林水産研究においては、研究成果の社会実装による最終的なビジョンを見越し、想定される農林水産業・食品産業のビジネスモデルに対応した戦略的な知的財産マネジメントに国内外を問わず取り組むことで、我が国の農林水産業・食品産業等の国際競争力の強化を図るという目的で作成されました。
さて、この方針ですが、次のような目次となっています。
- はじめに
- 農林水産研究における知的財産マネジメントの強化の背景
- 農林水産研究における知的財産に関する方針の位置付け
- 農林水産研究における知的財産に関する基本的な方針
- 今後の知的財産マネジメントの取組
- 研究の企画・立案からの一連の過程において戦略的な知的財産マネジメントに取り組むための仕組みの導入
- 研究開始時の取組
- 知財合意書の作成及び合意
- 研究成果の権利化、秘匿化、論文発表等による公知化、標準化の取扱いや実施許諾等に係る方針の作成
- データマネジメントプランの作成
- 研究期間中の取組
- コンソーシアムにおける知的財産マネジメントの実施
- 委託研究等の体制の変更への対応
- 研究終了後の取組
- 研究開始時の取組
- 研究成果の取扱い
- 適切な技術移転に向けた取組
- 農林水産業・食品産業等の現場への適切な技術移転
- 知的財産の組合せの推進
- 研究成果の効果的な実施許諾
- 技術移転活動の積極的な実施
- 民間企業等との共同研究等の推進
- 農林水産業・食品産業等の現場への適切な技術移転
- その他
- 未利用の知的財産の活用促進に向けた取組
- 農林水産省所管の国立研究開発法人における戦略的な知的財産マネジメントの実践に向けた取組
- 研究者の適切な評価
- 人材の育成
- 研究の企画・立案からの一連の過程において戦略的な知的財産マネジメントに取り組むための仕組みの導入
- 今後の知的財産マネジメントの実施に当たって留意すべき事項
- 異分野との連携による科学技術イノベーションの創出
- ブランド価値の向上
- グローバル化への対応
- 知的財産のそれぞれの取扱いにおいて留意すべき事項
- 権利化及び秘匿化
- 育成者権
- 特許権
- 商標権
- 営業秘密等
- 論文発表等による公知化
- 標準化
- 和牛遺伝資源の取扱い
- 権利化及び秘匿化
これらの目次から分かるように、農林水産研究においても他の技術分野と同様の知的財産管理を行っていくべきということが分かると思います。
以前私が勤務していた独立行政法人産業技術総合研究所(現国立研究開発法人産業技術総合研究所)では、まさしくこの方針に記載されているような知的財産マネジメントを行っていました。
具体的には、知的財産の方針を策定し、それに基づいて、共同研究契約書、研究試料提供契約書、技術情報開示契約書、オプション契約およびライセンス契約書のひな形等の整備や、これらの契約の交渉・契約業務に携わってきました。
大学や国立研究機関等が民間企業と上手く連携していくためには、民間企業との違いと、その状況を考慮した契約交渉・契約書が必要となります。
民間企業も、大学や国立研究機関等の立場を理解した上で、適切に共同研究や技術移転を進めて行って欲しいと思います。
弊所は、民間企業と、大学や国立研究機関等との交渉・契約について豊富な経験を有しております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。