「委託研究開発における知的財産マネジメントに関する運用ガイドライン」が改訂されました(2023年4月)

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

2023年4月19日に、経済産業省が「委託研究開発における知的財産マネジメントに関する運用ガイドライン(2023年4月)」を公表しましたので、今回はこれについて書きます。

委託研究開発における知的財産マネジメントに関する運用ガイドライン(2023年4月) 表紙
引用:委託研究開発における知的財産マネジメントに関する運用ガイドライン(2023年4月)

「委託研究開発における知的財産マネジメントに関する運用ガイドライン(2023年4月)」はこちら

委託研究開発における知的財産マネジメントに関する運用ガイドライン」とは、経済産業省が日本版バイ・ドール規定を含む産業技術力強化法を所管する立場から、国の委託による研究開発プロジェクトにおいて、国の担当者が知的財産マネジメントを実施するに当たり考慮すべきと考えられる事項を取りまとめたものです。

そして、このガイドラインは、経済産業省の予算により、経済産業省又は経済産業省所管の独
立行政法人が委託する技術に関する研究開発に適用されています。

さて、このガイドラインですが、過去に2度、次のような項目について改訂されています。

  1. 令和2年1月改訂の概要
    1. 研究成果に係る知的財産権について国外企業等と国との共有(持分の50%以上は国に帰属)を原則とすること(令和3年5月に国外企業等と国との共有とする規定を例外的に適用しない場合の考え方を追記)
    2. 親会社又は子会社(これらの会社が国外企業等である場合に限る。)への移転等の場合には、委託者に連絡の上、事前に調整を行うこと
    3. 安全保障貿易管理の観点を踏まえ、技術情報等の流出を防止すること
  2. 令和3年4月改訂の概要
    1. 受託者は、ライセンス契約において、サブライセンス(再実施許諾)の禁止、秘密保持条項の規定等の「重要事項」を原則措置するとともに、販売先地域の制限、リバースエンジニアリングの禁止等の「推奨事項」を可能な範囲で措置すること
    2. 受託者は、これらの重要事項及び推奨事項を、ライセンス・ポリシーやチェックシートとしてあらかじめ定めておくことが望ましいこと

そして、今回の改訂では、次のような項目が主に改訂されています。

  1. フォアグラウンドIPの実施許諾について、場合によっては、事業化を行うプロジェクト参加者に、事業化に必要な範囲での独占的な実施権の許諾を可能とすること
  2. 別添としていた「知財合意書の作成例及び解説」について、知的財産と研究開発データの取扱いがあわせて検討されている実務を踏まえ、「委託研究開発におけるデータマネジメントに関する運用ガイドライン」に示していた「データ合意書の作成例及び解説」と一体とした「別紙 知財及びデータ合意書の作成例及び解説」とし、内容を刷新。

なお、このガイドラインと共に、次の関連資料も経済産業省から公表されています。

このガイドラインは、原則として、令和5年5月1日以降に知財合意書を作成するものから適用されることになっています。

今後、国の委託研究開発プロジェクト(国プロ)に参加する場合には、このガイドラインが適用されることになりますので、参加を予定している企業の方が必須の資料になると思います。

国プロを活用して、日本の経済力向上に繋がる研究開発を行ってください!

弊所では、このガイドラインに関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

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