こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
令和5年3月16日に、近畿経済産業局から海外展開時の知的財産対策に関するガイドブック「オンライン時代の展示会とECの落とし穴 ー知的財産の流出リスクとその対策ー」が公表されましたので、今回はこれについて書きます。
「オンライン時代の展示会とECの落とし穴ー知的財産の流出リスクとその対策ー」はこちら
このガイドブックは、海外展開を検討する際、知的財産の流出や模倣品被害を防ぐためのにまとめられました。なお、EC等のオンラインツール上の観点から留意すべき事項についても記載されています。
さて、このガイドブックの内容ですが、次のような目次となっています。
- はじめに
- 海外展開のフロー
- 海外進出“前”に知っておきたい知財知識
- そもそも知的財産権とは?
- 知的財産権について知っておきたいポイント
- リアル展示会・オンライン展開時の知財共通チェックポイント
- 社名・ロゴマーク・パンフレットはここに注意!
- 製品・商品の現物展示のリスクとは?
- 製品カタログやポスターの詳細説明にご用心!
- 映像からは製造ノウハウを削除!
- サンプル・図面を渡す相手は慎重に見極めを!
- なるほどコラム 部品に商標を小さく刻印、模倣品との違いを鮮明に
- どきっとコラム 製品、商標、カタログを含めて全体的な印象を似せてくる
- オンライン・EC 展開時の必要対策 「オンライン発信=情報流出」の認識を!
- 海外 EC 展開は不特定多数からの模倣と表裏一体
- 新商品プロモーション内容や社長 SNS での発信内容も要チェック
- 模倣は小さな段階で目を摘むことが大切!毅然と対応
- なるほどコラム SNS で正規品を発信、その後、各国で登録
- なるほどコラム 模倣品流入を水際で阻止!税関の水際対策
- 事前調査や重視する国での出願の重要性 -準備を知る!
- 事前の商標調査 -外国商標のデータベースを使いこなす
- 重視国は出願 -知財は身を守るための“鎧”、事業戦略上の「投資」
- 海外展開前に目的の明確化と、社内体制整備・知財研修を!
- 海外知財制度やトピック ―中国・米国・ベトナムを中心に
- 主要国の制度概観(中国、米国、ベトナム)
- 中国、米国、ベトナムの知財制度トピック
- 中国の知財制度トピック
- 米国の知財制度トピック
- ベトナム及びその他アセアン諸国の知財トピック
- 相談窓口等関係機関紹介
- (独)工業所有権情報・研修館(INPIT)
- (独)日本貿易振興機構(ジェトロ)
- (独)中小企業基盤整備機構(中小機構)
- 関連するポータルサイトや問合窓口
この目次を見て分かるように、展示会の際に注意すべき点が具体的に説明されています。
例えば、「製品・商品の現物展示のリスクとは?」の項目では、次の3点が重要ポイントとして紹介されています。
★最も多い模倣被害は商標や外観の模倣(名称、ロゴマーク、デザイン、色等)
★出展前には最低限の商標・意匠の事前登録調査を
★一定以上の売上高の国では権利取得が必須(侵害側になるリスクに注意)
そして、これらの対策として次のようなことが具体的に記載されています。
- 自社にとって重要な市場となっている国では、商標・意匠等の権利を出願・登録しておくことが大切です。また、第三者が同一・類似の商標について既に商標登録していた場合、自社側がその国では商標権侵害者になるリスクがあるため、売上がまだなくても、出展前に商標調査をすることは大切です。
- 費用対効果の判断によりますが、意匠により外観を保護する場合、製品化されたものと同一のデザインだけでなく、少しデザインを変えた内容でも出願・登録しておくと保護される範囲を拡大することができます。
このように、このガイドブックには、展示会に参加する際の注意点と、その対応策が分かり易く記載されています。
海外展開を行うと、日本では考えられないようなことが問題が発生することがあります。
そのような問題が発生しないように、このガイドブックを読んで、前もって対策をしてみては如何でしょうか?
弊所では、海外展開の際に必要となる外国での知的財産権の取得に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。