こんにちは。弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所の鈴木徳子です。
先日、レッドソール(赤い靴底)で有名な高級ブランド「クリスチャン・ ルブタン」が、赤い靴底のパンプスに類似した商品を製造販売していた日本の靴メーカー「エイゾー(EIZO)」(エイゾーコレクション)を相手に不正競争防止法で争っていた件で、知財高裁がルブタン側の請求を全て棄却したことが報道されました。
裁判では、EIZOの靴底の色が赤色だとしてもルブタンとは誤認混同のおそれはなく、靴底が赤いハイヒールはルブタン以外の商品も流通しておりルブタンが独占的に使用してきたものでもないことから、EIZOの販売等の行為は不正競争に該当しないと判断されました。その理由は次のようなものです。
●ルブタンの靴底はマニキュアのような光沢がある赤色で中敷きに「ルブタン」のブランドロゴが付されているが、EIZOの靴底はゴム製で光沢がない赤色であり中敷き及び靴底に金色で「EIZO」のロゴが付されている
●両者の価格帯は異なる
●東京・大阪・愛知におけるルブタンの認知度のアンケート結果は51.6%
●ルブタンのような高級ブランドの需要者は試着の上で慎重に購入する
裁判所は、取引の実態を詳細に検討した上で、このような結論を出したようです。要するに、需要者は靴底が赤いだけで即、「ルブタン」と認識するわけではないということです。
ルブタンは1992年に設立された靴ブランドです。シャネル(1910年創立)やサンローラン(1961年創立)などの有名ブランドと比べると、新しいブランドです。にもかかわらず、これだけ短期間で高級ブランドとして認められるようになったということは、当時レッドソールが世に与えたインパクトが相当強かったのだと思います。
どういういきさつでルブタンが靴底を赤色にしたのかについては、COSMPOLITANに次のような記載がありました。『ルブタンはアシスタントが持っていた赤いマニキュアをこっそり拝借し、興味本位で靴の地味な黒いソールに塗ってみたとか。すると、ソールの赤い完成品の美しさにすっかり魅了され、その日以来、自身が生み出したすべての靴のソールに赤いラッカー仕上げを施すようになったとのこと。』
ルブタンのレッドソールは、真っ赤なマニキュアから発想を得た偶然の産物だった!ということです。
ところで、EIZOのパンプスの価格帯は1~2万円程度ですが、ルブタンは軽く10万円はします。ちなみに、私はルブタンのパンプスは1足も持っていません。そもそもルブタンのような高いヒールの靴は苦手ですし、履く機会もありません。仮に、有名人が参加するようなパーティに誘われたとすれば、ルブタンの靴でも買ってみようかな、、と思うかもしれません。
コロナ禍で、最近は楽ちんパンプスの、「スニーカーパンプス」というジャンルも確立されてきたようですが、私はもっぱらヒールが苦手な楽ちん派です。
最後に、ルブタンはレッドソールの色に関する商標(画像参照)を出願(商願2015-29921)しておりますが、特許庁でもこれまで登録は認められていません。
今日は以上です。
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