仮想空間上の模倣品対策

こんにちは。弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所の鈴木徳子です。

先日のニュースで、政府がデジタル模倣品を規制することを目的とした「不正競争防止法改正案」を通常国会に提出したことが報じられました。

これは模倣品の規制範囲を、「実体のある物」から広げ、インターネット上の仮想空間「メタバース」で販売されるデジタルの模倣品も禁止すること等を目的とするものです。

政府は「ムーンショット計画」と呼ばれるプロジェクトで「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」することを掲げています(詳細は内閣府のHPをご参照下さい。https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/sub1.html)。政府がメタバースに相当力を入れていることが分かります。今回の、不正競争防止法改正の動きもその一環だと思います。

仮想空間で独自のアバターでやり取りしている姿は、将来的には当たり前の世界になっているかもしれません。私も遅ればせながら、clusterというバーチャルSNSのアプリをダウンロードしてみました。まだまだ初心者ですが、仮想空間とはいえエレベータに乗ったり、走り回ったり、ジャンプしたりなどの基本的な動きから、友人をつくったり、イベントに参加したりできます。ハマる人もいるのではないでしょうか?

仮想空間では、自分で制作したアイテムの販売も可能ですので、デジタルとはいえ有名ブランドのデザインと酷似した衣服などの模倣品が取引されるおそれがあります。今回の不正競争防止法の改正案は、現行法(不正競争防止法2条1項3号)では規制の対象外となっているデジタル化された商品の形態模倣品の提供を規制することを目的としています。

IT業界は技術の進歩が早すぎて、法制度は常に現実に遅れがちです。今後も仮想空間上での新たな問題が生じ、それに伴って様々な法律が変わっていくのではないでしょうか。

今日は以上です。

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鈴木 徳子