こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
特許庁のプレスリリースによると、日米協働調査試行プログラムが2024年10月31日まで延長されましたので、今回はこれについて書きます。
「日米協働調査試行プログラム」とは、日米両国に特許出願した発明について、日米の特許審査官がそれぞれ調査を実施し、その調査結果および見解を共有した後に、それぞれの特許審査官が、早期かつ同時期に最初の審査結果を送付する、国際的な特許審査の取組です。
「日米協働調査試行プログラム」に関するWebページはこちら
この日米共同調査試行プログラムのメリットとして、次の4点が挙げられています。
- 両庁から早期かつ同時期に最初の審査結果が送付されるため、審査・権利取得の時期に関する予見性が向上する点(両庁において追加手数料は不要)
- 日米の特許審査官の見解が共有されるため、両庁における最初の審査結果において判断が一致する可能性が高まり、両庁のFAに対する応答負担が減少し、より強く安定した権利を得ることが可能となる点
- 日本国特許庁の審査官が最初の審査結果において提示した文献(引用文献及び先行技術文献)につき、米国特許商標庁への情報開示陳述書(IDS;Information Disclosure Statement)提出の負担が軽減する点
- 出願人が技術的に関連する一群の出願をまとめて申請した場合、日米両国の審査官は、最初の審査結果を同時期に発送することになるため、出願人は同時期に一群の出願の審査結果を得ることが可能となる点
実務的には、これらのメリットは大きいと思います。
特に、日米の審査において、「最初の審査結果において判断が一致する可能性が高まる」という点は非常に大きなメリットだと思います。
経験上、同一PCT出願から日本および米国に国内移行した各特許出願で、判断が一致した特許出願は数える程度しかありません。
審査官も人間ですし、日本と米国では発明に関する考え方が少し異なるため仕方ないのかもしれません。
しかし、日米協働調査試行プログラムを適用することによって、その違いの幅が狭まるのであれば、非常に有用だと思います。
補正および反論にかかるコスト低減にも寄与すると思いますので、日米協働調査試行プログラムが適用可能であるならば、適用してみては如何でしょうか?
日米協働調査試行プログラムが適用可能かどうかについては、上述のWebページをご確認ください。
ちなみに、「統一申請書」を利用することで、一方の庁への申請のみで日米協働調査への参加可能となりましたので、手続の負担も軽減されています(次の申請手続概略フロー参照)。
日米で同一特許出願に関して早期に権利化を図りたい場合には、この日米協働調査試行プログラムを利用してみてください!
弊所では、日米協働調査試行プログラムの利用も見据えた特許出願戦略のご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。