「委任状」に代えて「委任状の写し」も提出可能になります

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

令和4年9月1日に、特許庁からプレスリリース「代理権の証明として、委任状の写しの提出が可能になります」が公表され、今後(令和4年9月下旬以降を予定)は「委任状の写し」も代理権を証明する書面として認められることになりましたので、今回はそれについて書きます。

代理権の証明として、委任状の写しの提出が可能になります
引用:特許HP

プレスリリース「代理権の証明として、委任状の写しの提出が可能になります」はこちら

以前は、国内優先権主張等の不利益行為を行う場合には、押印済みの委任状を特許庁に提出する必要がありました。

その後、コロナ禍の影響で、押印なしの委任状でも提出可能になりました。

押印なしの委任状を提出することに意味があるのか?という疑問はさておいて、代理人としては、依頼人の押印がない委任状というのは心もとない感じがあります。

特に、外国企業から委任されて業務を行う場合には、書面上でも委任されていることを明確化しておきたいのではないでしょうか?

そこで、今回の運用変更が重要になります。

以前は、委任状の原本(紙)が必要となっていたため、海外のクライアントから委任状の原本を郵送してもらっていました。

外国企業のクライアントとの間でこの手続きが面倒で、委任状のデータはすぐにメールに添付して送ってくれるのですが、原本はなかなか送ってくれないということもありました。

契約書のイラスト

今後は、委任状のデータをプリントしたものでも代理権を証明する書面として、特許庁は受理してくれるようです(委任状提出に関するQ&A Q5参照)。

ちなみに、米国や中国等では以前から委任状をPDFデータで提出可能となっていました。(この点では、日本のデジタル化は遅れていたようです。)

なお、今後は、出願書類と同様にオンラインでの委任状提出もできるようになりそうです。
(個人的には、早急に対応して欲しいです。)

現在、日本の実務では出願時の委任状提出は必要とされていませんが、国内優先権主張等の不利益行為を含む場合には、委任状の提出が求められます。

委任状についても、早急に電子化されることを期待したいですね!

弊所では、委任状が必要となる国内優先権主張や無効審判等のご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

この記事を書いた人

branche-ip