こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
2022年4月に、特許庁から「クラウドファンディングと意匠権 ~クラウドファンディング活用企業による意匠登録事例集~」が公開されましたので、今回はそれについて書きます。
「クラウドファンディングと意匠権」はこちら
この資料は、クラウドファンディングを行う際に意匠権を活用した事例紹介と、クラウドファンディングを行う際に意匠権に関する注意事項を説明したものです。
さて、この資料の内容ですが、次のような目次となっています。
- クラウドファンディング活用企業による意匠登録事例集
- スマートウォレット(理 Kotowari🄬)
- 卓上火鉢
- マスクハンガー(Wire style Mskhangar)
- 電動スクーター(X-SCOOTER LOM)
- 双眼鏡(PENTAX VD 4×20 WP)・単眼鏡(PENTAX VM 6×21 WP)
- ハンガーブレスレット(I)
- クラウドファンディングと意匠権
- 意匠権
- クラウドファンディングと意匠権
- 絶対的独占権
- J-PlatPat
- 意匠登録出願と審査結果通知
- 意匠登録出願手続
- 意匠権に基づく差止請求
- 意匠権の発生と維持
- 新規性(権利化のための要件)
- 新規性喪失の例外適用申請手続き
- さらに詳しく知りたい方へ
- 知財総合支援窓口
- 意匠制度ガイドブック「みんなの意匠権」
最近は、マーケティングの一環としてクラウドファンディングを利用する企業が増えてきていますが、クラウドファンディングと意匠権は関係があるの?と思う人もいると思います。
実は、結構関係があるのです。
当たらな製品の開発費用の一部を賄うためにクラウドファンディングを行う際には、その開発製品の仕様書等を公表することになります。
すると、その開発製品のデザインは公知となってしまいます。
そして、公知となったデザイン(意匠)は、原則として意匠権を取得することができなくなってしまいます。
そこで、特許庁としては、クラウドファンディングを少なくとも行う前に、意匠登録出願をした方が良いことを啓蒙するために、この資料を作成したのではないかと思います。
もちろん、クラウドファンディングを行った後でも、所定の要件(条件)を満たせば、新規性喪失の例外規定が適用されて意匠権を取得することもできます。
しかし、意匠権を取得できないリスクが高まりますし、外国での意匠登録が難しくなる場合もあります。
そのような状況になるのを未然に防ぐためにも、この資料を読んでからクラウドファンディングを行うようにしてください!
きっと役立つと思います。
ちなみに、上記の注意点は、意匠だけでなく特許も同様です。
弊所では、クラウドファンディングの活用を含めた知的財産のご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。