特集「改正種苗法でこう変わる」が公表されています
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
令和4年4月1日から、令和2年改正種苗法のうち、まだ施行されていなかった登録品種の増殖に関する制限や、品種登録出願手続等が施行されました。
それに合わせて、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が発行している広報誌「公報なろ第24号」に、特集「改正種苗法でこう変わる」が掲載されていますので、今回はそれについて書きます。
「広報なろ第24号」はこちら
さて、この広報誌の目次ですが、次のようになっています。
- 特集1 ポイント 改正種苗法
- 海外持出制限
- 登録品種の増殖の許諾
- 国内の栽培地域指定
- 育成者権を活用しやすくするための措置
- 表示の義務化
- 解説 登録品種と一般品種
- 改正種苗法は品種開発を推進
- 特集2 ポイント 農研機構登録品種の自家用の栽培向け増殖の許諾方法
- Q&A 農研機構に寄せられるQ&A
- 農業者は農家と違うのですか?
- 登録品種の「自家用の栽培向け増殖」の許諾対象とは?
- 農地所有適格法人とは?
- 農地所有適格法人と農業生産法人は違うのですか?
- 収穫物とは?
- なぜ農研機構は登録品種全ての自家用の栽培向け増殖を許諾制にするのですか?
- 改正前の「自家増殖」と、令和4年4月1日以降の「自家用の栽培向け増殖」の定義はどう違うのですか?
- 増殖と生産は違うのですか?
- 農研機構育成の登録品種では、農業者の自家用の栽培向け増殖をどのように許諾するのですか?
- クイズでおさらい改正種苗法 間違い探し
この目次を見れば分かると思いますが、この特集では、農研機構登録品種の自家用の栽培向け増殖の許諾の説明に多くのページが割かれています。
引用:広報なろ第24号
種苗法改正の際にも、この点について議論になったことが反映されているからなのかもしれません。
私が以前勤務していた独立行政法人産業技術総合研究所(産総研、現国立研究開発法人産業技術総合研究所)でもそうだったのですが、研究開発を継続して行くためには多額の研究開発費が必要となります。
しかし、産総研や農研機構のような国の研究機関は、法律上ビジネスを行うことができず、研究開発費のほとんどを国費で賄っています。ただ、昨今の国の財政上の問題から、国が豊富な研究開発費を支出することが難しくなっています。
そこで、これらの研究機関の研究成果を民間企業が活用した場合に、得られた収益の一部をライセンス料として国の研究機関に還元してもらうような仕組みができました。
そして、得られたライセンス料から、さらに研究開発を行い、より優れた研究成果を得るという研究開発サイクルを回していくべきと考えています。
さて、話は改正種苗法に戻りますが、令和2年の改正により、育成権者にとって種苗法はより活用し易くなったのではないかと思います。
植物の育種を行っている企業や個人は、登録品種を適切に保護することによって、さらなる優良品種を育成して欲しいと思います。
弊所では、種苗法に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。