「公用文作成の考え方(建議)」が公表されました
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
令和4年(2022年)1月7日に、文化庁から「公用文作成の考え方(建議)」(以下「建議」という。)が公表されたので、今回はそれについて書きます。
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「私は、公務員じゃなく、公用文なんて書くことはないから関係ない」と思う人もいると思いますが、「公用文の考え方」は、準法的な意味合いを持つことも「契約書」や「特許請求の範囲」等の文章にも影響を与えることになると思います。
さて、この資料の前書きによると、「公用文作成の考え方(建議)」は、「これからの時代にふさわしい公用文作成の手引きとするため」に作成されました。
公用文とは「国家や公共団体などが出す文書や法令等の文章」であり、公用文作成の考え方とは、公用文に関する既存のルール、慣用及び実態に基づき、表記、用語、文章の在り方等に関して留意点をまとめたものです。
さて、この資料の内容ですが、次のような目次となっています。
- 基本的な考え方
- 読み手とのコミュニケーションとして捉える
- 文書の目的や種類に応じて考える。
- 読み手に伝わる公用文作成の条件
- 正確に書く
- 分かりやすく書く
- 気持ちに配慮して書く
- 標記の原則
- 漢字の使い方
- 送り仮名の使い方
- 外来語の表記
- 数字を使う際の留意点
- 符号を使う際の留意点
- 句読点や括弧の使い方
- 様々な符号の使い方
- その他の留意点
- 用語の使い方
- 法令・公用文に特有の用語は適切に使用し、必要に応じて言い換える
- 専門用語は、語の性質や使う場面に応じて対応する
- 外来語は、語の性質や使う場面に応じて対応する
- 専門用語や外来語の説明に当たっての留意点
- 紛らわしい言葉を用いないようにするための留意点
- 文書の目的、媒体に応じた言葉を用いる
- 読み手に違和感や不快感を与えない言葉を使う
- その他の留意点
- 伝わる公用文のために
- 文体の選択に当たっての留意点
- 標題・見出しの付け方に関する工夫
- 文の書き方に関するの留意点
- 文章の構成に関する留意点
なお、この資料には、公用文の分類例として次のようなものが例示されています。
また、この資料には、さらに「公用文作成の考え方(文化審議会建議)」解説が添付されています。
この解説では、建議の記載だけでは、分かり難い点についても、より詳しく解説されています。
例えば、「Ⅲ-5 紛らわしい言葉の扱い」の(ウ)「等」「など」の類は慎重に使うには次のような解説が記載されています。
『公用文においては、文中に示したものだけに限定されないことを表すために、「等」「など」「ほか」「その他」といった語を用いる場合がある。ただし、読み手にとっては、その意味するところや内容が伝わりにくいことや、批判をかわすためと見える場合もある。
伝える必要がある事柄は、全て示すか、本当に必要なものだけを取り上げ、できるだけこれらの語を使わず書くようにするとよい。それでも、正確さを確保する観点からこれらの語を用いる時には、具体的に上げるべき内容を想定しておきたい。また、「等」「など」の前には、代表的・典型的なものを挙げる。
なお、例のように、言葉を包括的に言い換えるという方法もある。
例)遺跡の保存・活用等の実施 → 遺跡の保存・活用に関わる取組の実施』
このように、分かりやすく、用語等の使い方が説明されています。
上述したように、「公用文作成の考え方(建議)」は、「契約書」等の文書にも影響を与える重要な考え方だと思います。
また、この考え方は、法的な業務に関与していない人であっても、情報を分かりやすく、かつ正確に記載する際に必要なものだと思います。
「公用文作成の考え方(建議)」だけですと、実質7ページ、「公用文作成の考え方(文化審議会建議)」解説を含めても、実質33ページです。
是非この資料を手に取って、分かりやすい文章の作成に精進しましょう!
(自戒も含めてですが。。)
弊所では、契約書作成や特許出願書類の作成に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。