下請法を詳細に知りたい方は、「下請取引適正化推進講習会テキスト」を!(2021)
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
2021年11月に、「下請取引適正化推進講習会テキスト(令和3年11月版)」が公表されましたので、今回はそれについて書きます。
「下請取引適正化推進講習会テキスト」は、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の所管官庁である公正取引委員会と、中小企業の育成、発展に関する事務などを所管する中小企業とが合同で作成した下請法に関する詳細な資料です。
公正取引委員会と中小企業庁が合同で作成した資料ですので、信頼性が非常に高いものとなっています。
「下請取引適正化推進講習会テキスト(令和3年11月版)」はこちら
さて、このテキストですが、次のような目次となっています。
- 下請代金支払遅延等防止法の内容
- 本法制定の趣旨
- 本法の概要
- 本法の適用対象
- 親事業者・下請事業者の定義(第2条第7項及び第8項)
- 製造委託(第2条第1項)
- 修理委託(第2条第2項)
- 情報成果物作成委託(第2条第3項)
- 役務提供委託(第2条第4項)
- トンネル会社の規制(第2条第9項)
- 親事業者の義務
- 書面の交付義務(第3条)
- 支払期日を定める義務(第2条の2)
- 書類の作成・保存義務(第5条)
- 遅延利息の支払義務(第4条の2)
- 親事業者の禁止事項
- 受領拒否の禁止(第4条第1項第1号)
- 下請代金の支払遅延の禁止(第4条第1項第2号)
- 下請代金の減額の禁止(第4条第1項第3号)
- 返品の禁止(第4条第1項第4号)
- 買いたたきの禁止(第4条第1項第5号)
- 購入・利用強制の禁止(第4条第1項第6号)
- 報復措置の禁止(第4条第1項第7号)
- 有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止(第4条第2項第1号)
- 割引困難な手形の交付の禁止(第4条第2項第2号)
- 不当な経済上の利益の提供要請の禁止(第4条第2項第3号)
- 不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止(第4条第2項第4号
- 立入検査・勧告・罰則等(第6条~第12条)
- 本法事件処理フローチャート
- 下請代金支払遅延等防止法第3条に規定する書面に係る参考例
- 電磁的方法による発注・取引記録の保存
- 関係規定
- 書面の交付に代えることができる電磁的記録の提供の方法及びその留意点
- 取引記録の作成・保存の要件(第5条関係)
- 一括決済方式の概要
- 電子記録債権を用いた支払の概要
- 本法違反行為の未然防止の取組
- 下請法違反行為を自発的に申し出た親事業者の取扱いについて
- 参考 下請中小企業振興法の内容
- 下請中小企業振興法による施策の概要
- 基本的性格
- 法の適用範囲
- 振興基準
- 振興事業計画
- 特定下請連携事業計画
- 下請中小企業取引機会創出事業者
- 下請企業振興協会
- 資料1 下請代金支払遅延等防止法
- 資料2 下請代金支払遅延等防止法施行令
- 資料3 下請代金支払遅延等防止法第3条の書面の記載事項等に関する規則
- 資料4 下請代金支払遅延等防止法第4条の2の規定による遅延利息の率を定める規則
- 資料5 下請代金支払遅延等防止法第5条の書類又は電磁的記録の作成及び保存に関する規則
- 資料6 下請取引における電磁的記録の提供に関する留意事項
- 資料7 下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準
- 資料8 下請代金の支払手段について
- 資料9 一括決済方式が下請代金の支払手段として用いられる場合の下請代金支払遅延等防止法及び独占禁止法の運用について
- 資料10 一括決済方式が下請代金の支払手段として用いられる場合の指導方針について
- 資料11 電子記録債権が下請代金の支払手段として用いられる場合の下請代金支払遅延等防止法及び私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の運用について
- 資料12 電子記録債権が下請代金の支払手段として用いられる場合の指導方針について
- 資料13 サプライチェーン・マネジメントに関する考え方
- 資料14 下請法違反行為を自発的に申し出た親事業者の取扱いについて
- 資料15 下請法違反行為を自発的に申し出た親事業者の取扱いについて
- 資料16 下請中小企業振興法
- 資料17 下請中小企業振興法第3条第1項の規定に基づく振興基準
- 資料18 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)(抄)
- 資料19 不公正な取引方法
- 資料20 特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方
- 資料21 「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」 (物流特殊指定)の概要
- 資料22 働き方改革に関連して生じ得る中小企業等に対する不当な行為の事例
- 資料23 下請法勧告一覧(平成16年度以降)
- 資料24 令和2年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組
- 資料25 令和2年度における下請取引の適正化に向けた取組等について
- 資料26 取引調査員(下請Gメン)による訪問調査について
- 資料27 下請ガイドラインについて
この目次を見ると、盛りだくさんの内容であることが分かると思います。
特に、この資料は「テキスト」となっていますが、実質は、下請法の逐条解説、Q&Aおよび資料集をまとめたものとなっており、この一冊で条文から実務まで理解できるものとなっています。
例えば、下請法2条3項に規定されている「情報成果物」の解釈について、次のように具体例を挙げて解説されています。
『「情報成果物」とは,次に掲げるものをいう。
① プログラム(電子計算機に対する指令であって,一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)
例:テレビゲームソフト,会計ソフト,家電製品の制御プログラム,顧客管理システム
② 映画,放送番組その他影像又は音声その他の音響により構成されるもの
例:テレビ番組,テレビCM,ラジオ番組,映画,アニメーション
③ 文字,図形若しくは記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合により構成されるもの
例:設計図,ポスターのデザイン,商品・容器のデザイン,コンサルティングレポート,雑誌広告
なお,上記①から③以外で,これらに類する情報成果物については今後の技術進歩等に応じて機動的に対応できるよう政令で追加できる仕組みとなっているが,現在のところ追加されているものはない。』
このように、非常に分かり易いものとなっています。
実務でも下請法を活用したい人にとっても、非常に役立つものになっていると思います。
まず、下請法のパンフレットを読んで概要が分かった人で、さらに下請法を知りたい方は、この資料を是非ダウンロードしてご覧になってください!
弊所では、下請法をも考慮しなければならないようなライセンス契約に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。