「化管法SDS制度に関するQ&A」が公表されています
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
経済産業省から、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)」に関するQ&Aが公表されていますので、今回はそれについて書きます。
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化管法は、化学物質を取り扱う企業にとって重要な法律であり、PRTR制度※1とSDS制度※2を柱として、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とした法律です。
さて、このQ&Aの内容ですが、次のような質問に対する回答が解説されています。
- 対象事業者について
- 事業者の要件
- 従業員数の裾切り要件
- 輸入業者の義務
- 外資系企業
- 倉庫業
- 他社製造品を販売する際のSDS及びラベルの作成・提供者
- 同一事業者(会社)の事業所間
- 業種指定の有無
- 畜産農家へ対象製品を販売する場合
- 施工業者へ付属品として接着剤を提供する場合
- 内装業者へ外注する場合
- ネズミ駆除業務を請け負う場合
- 運送業者に輸送を委託する場合
- 一般消費者へ譲渡・提供する場合
- 事業者と一般消費者の区別が付かない場合
- 対象化学物質・対象製品について
- 製品要件
- 含有率の裾切り要件
- 製品の除外要件
- 製品の用途による除外規定
- 医療用診断薬 30%ホルマリン
- 異性体の取扱い
- 金属化合物の元素換算及び水溶性化合物の判断について
- 硫酸銅を含む飼料
- 指定化学物質のポリマー
- はんだ
- ガソリン
- トナーやインク製品
- サンプル
- 分解して指定化学物質が生成される製品
- 固体状の製品(溶融加工する製品)
- 固体状の製品(切断・研磨等加工する製品)
- 固体状の製品(スポンジ)
- 密封された製品(乾電池、コンデンサー)
- 成型品
- めっき加工製品、塗装製品
- 密封された製品(発泡剤)
- 天然物(珪藻土)
- 一般消費者用製品の定義
- ホームセンターで販売される製品
- 医薬部外品
- 廃棄物
- 再生資源
- 再生品
- 製造工程で使用した指定化学物質の記載の要否
- 接着剤を使用した加工品
- 工作機械に内蔵された潤滑油等
- 業務用害虫駆除機
- 輸入繊維製品中のホルムアルデヒド
- 化管法に基づくSDS及びラベルの作成方法について
- 化管法に基づくSDS及びラベルの作成方法
- SDSやラベルに関するJIS Z 7250、JIS Z 7251、JIS Z 7253の関係について
- GHS分類に必要な危険有害性に関連する情報の入手方法
- 化学物質(純物質)の危険有害性に関連する情報が得られない場合、「分類できない」と「区分に該当しない」の違い
- 混合物の危険有害性に関連する情報が得られない場合
- 混合物の危険有害性は一番危険な物質で代表できるか
- 輸入品のSDS
- 英文の雛形の有無
- 法令名の表記
- 不適切な成分名の表記
- 金属類を含有する指定化学物質の名称
- 指定化学物質の政令番号、管理番号
- 指定化学物質についての情報(含有量が少量の場合)
- 指定化学物質の含有率の表記方法(法令の規定)
- 指定化学物質の含有率の表記方法(10%未満の場合)
- 指定化学物質の含有率の表記方法(幅表記について)
- 指定化学物質の含有率の表記方法(具体例について)
- GHSの危険有害性項目全ての記載が必要か
- SDSへのGHSラベル要素(絵表示等)記載の必要性
- 他法令の官報公示整理番号
- 適用法令
- 輸送に関する国連番号及び国連分類
- 添付文書にSDSに相当する記載が既にある場合
- 営業秘密に係る指定化学物質名
- 指定化学物質の含有率が不明(秘密)な輸入製品の含有率
- 提供方法について
- 会社情報の表記方法
- SDSのコピー提供及びラベルの取り扱い
- OEM生産による製造者と販売業者の会社情報の提供方法
- 請負(委託)契約における原材料の受け渡しについて
- 請負(委託)契約における完成品の受け渡しについて
- 同一化学物質を含有する多種多様な製品に対するSDSの提供方法(製品一覧の添付等)
- 反復した取引の際の化管法に基づくSDS及びラベルの提供
- ホームページ掲載による化管法に基づくSDSの提供可否
- 小さな容器のラベルによる表示方法
- 輸出入に関して(一部再掲)
- (再掲)輸入業者の義務
- (再掲)輸入品のSDS
- (再掲)英文の雛形の有無
- 化管法該当製品の輸出について
- 海外のSDS制度について
- その他
- 化管法に基づくSDSの要求可否
- 化管法に基づくSDSに関する罰則
- 化管法に基づくSDSの内容変更について
- 化管法に基づくSDSの内容変更について2
- SDSの定期的な更新・有効期限
- 指定化学物質のリスト及びデータベース
- 化管法以外の法令対象物質
- 化管法以外で国内でSDSを求める法令
- 他の法令の表示との併記
- 化管法に基づくSDSやラベルによる表示の認可等
- 化管法に基づくSDS及びラベルの活用
- SDSとイエローカードの違い
- GHS
- GHSとは
- GHSの対象製品
- ビルディングブロック
- 化管法におけるGHS分類の方法
- GHSに対応した化管法に基づくSDS及びラベルの作成
- 試験実施の必要性
- GHS分類に使用する情報
- 絵表示の入手先
- 絵表示の表示方法
- MSDSとSDSの違い
- 令和3年10月の政令改正に伴う変更について
- 改正政令のSDS施行時期
- 改正政令の施行日以前の政令改正後の指定化学物質を記載したSDSの提供
- 政令改正により指定化学物質の種類が変更になる物質のSDS
- すでに流通している製品のSDS
- 改正政令公布から施行日までの間の情報提供方法
化管法に関する書籍は少なく、初めてSDS制度の担当者になった方にとっては、よく分からないことが多いと思います。
これらの問を見れば分かると思いますが、比較的基本的な事項についても丁寧に解説されています。
例えば、「化管法に基づくSDS及びラベルの作成方法」に対しては、
「化管法に基づくSDS及びラベルの作成に際しては、GHSに対応するJIS Z 7253(「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法-ラベル,作業場内の表示及び安全データシート(SDS)」)に適合する方法で行うことを努力義務としています(化管法SDS省令第4条第1項及び第5条)。JIS Z 7253は、日本産業標準調査会(JISC)のホームページにて閲覧、一般財団法人日本規格協会(JSA)にて購入することが可能です。また、当省のHPにて「化管法に基づくSDS・ラベル作成ガイド~事業者向けGHS分類ガイダンス・GHS混合物分類判定システム~」を、職場のあんぜんサイト(厚生労働省)では、GHS対応のモデルラベル及びモデルSDSを公開していますので、ご参照ください。」
と記載されており、なんと用紙の購入方法まで解説されています。
SDS制度に関して分からないことがあった場合には、まずこのQ&Aに当たってみることをお勧めいたします。
弊所では、SDS制度が適用されるような化学物質に関する発明のご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。
※1 PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)制度とは、人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質が、事業所から環境(大気、水、土壌)へ排出される量および廃棄物に含まれて事業所外へ移動する量を、事業者が自ら把握し国に届け出をし、国は届出データや推計に基づき、排出量・移動量を集計・公表する制度です。
※2 SDS(Safety Data Sheet : 安全データシート)制度とは、事業者による化学物質の適切な管理の改善を促進するため、化管法で指定された「化学物質又はそれを含有する製品」を他の事業者に譲渡または提供する際に、化管法SDS(安全データシート)により、その化学品の特性および取扱いに関する情報を事前に提供することを義務づけるとともに、ラベルによる表示することを定める制度です。