改正意匠法に基づく新たな保護対象等についての意匠登録出願動向2021
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
2021年9月14日に、特許庁から「改正意匠法に基づく新たな保護対象等についての意匠登録出願動向」が公表されたので、今回はそれについて書きます。
「改正意匠法に基づく新たな保護対象等についての意匠登録出願動向」はこちら
以前のブログでご紹介しましたが、令和元年改正意匠法では、保護対象の拡大や関連意匠制度の改正が行われました。
具体的には、画像のデザイン、建築物のデザインおよび内装のデザインが、意匠法の保護対象に追加されました。
また、関連意匠制度も改正され、基礎意匠の出願から10年を経過する日前まで関連意匠を出願できることになりました。
そこで、特許庁は、これらの新たに追加されたものに関して、出願状況および登録状況をまとめて次のように公表しました。
- 新たな保護対象についての意匠登録出願件数(令和3年9月1日時点で取得可能なもののみ)
保護対象 画像 建築物 内装 意匠登録出願件数 1,453 487 319 - 新たな保護対象についての登録件数(令和3年9月1日時点で取得可能なもののみ)
保護対象 画像 建築物 内装 登録件数 500 211 89 - 関連意匠についての意匠登録出願件数(令和3年9月1日時点で取得可能なもののみ)
出願の状態 件数 本意匠の公報発行前の出願 4,392 本意匠の公報発行後の出願 1,207
これらを見ると、新しい意匠登録出願に関して、それなりの出願件数があることが分かると思います。
画像意匠は、現在のIT化を高所すると、ある程度出願されると想定していたので、驚きはありませんでした。
一方、建築物や内装のデザインについては、それほど出願されないのではないかと個人的に予想していたのですが、思っていたよりも出願されているという印象です。
今後は、建築物や内装のデザインについて意匠登録出願数が順調に増えていくか否かについては、これらのデザインがキチンと保護されるか否かによるのではないかと思います(裁判所で、意匠権侵害と認定される事案が増えるか否か)。
意匠権侵害訴訟は、出願数もそうですが、訴訟が提起される数も少ない(10件以下)という状況です。
何れ建築物や内装のデザインに関する侵害訴訟が提起されると思いますが、それらの結果待ちという状況なのかもしれません。
ただ、意匠権は、原則として実施する前に出願しておく必要があります。建築物や内装のデザインがキチンと保護されるか否かは不明確という現状ですが、将来を見越して重要なデザインについては、出願しておくことをお勧めいたします。
弊所では、画像のデザイン、建築物のデザインおよび内装のデザインの意匠登録出願に関するご相談や、関連意匠制度を活用したデザイン戦略に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。