特許庁への手続を旧氏(旧姓)を併記することができるようになります
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
令和3年9月10日の特許庁のプレスリリースによると、「令和3年(2021年)10月1日から、特許庁への手続を旧氏(旧姓)を併記することができるようになります」ので、今回はそれについて書きます。
旧氏(旧姓)の併記に関するプレスリリースはこちら
具体的には、特許庁に提出する全ての書類を対象に、発明者、出願人、審判当事者等の氏名欄において、次のように、旧氏を併記(括弧書きで記載)することが可能になります。
【特許出願人】
【住所又は居所】 東京都千代田区霞が関3-4-3
【氏名又は名称】 特許(実用) 太郎
なお、2021年10月1日前にした出願であっても、手続補正書を提出することにより願書の【発明者】等の欄を補正することができます。ただし、出願が特許庁に係属している場合に限られるので注意してください。(設定登録後に、発明者等を補正することはできないので、注意が必要です。)
また、特許(登録)原簿の権利者の氏名についても、登録名義人の表示変更登録申請書を提出することにより、旧氏を併記することができます。なお、登録名義人の表示変更登録申請を行う場合には、登録免許税が必要になりますので、注意が必要です。
さらに、審判係属中の事件であっても、当事者系審判請求人および異議申立人の場合には、氏名(名称)変更届を提出し、当事者系審判被請求人および異議被申立人(権利者)の場合には、氏名(名称)変更届」を提出することにより、旧姓を併記することができます。
今までは、婚姻等により姓が変わってしまうと、発明者や出願人の同一性を確認する手間がかかりましたが、今回の「特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令」の施行により、旧姓を表示することができるので、その手間が省けることになります。
ちなみに、このプレスリリースには、次のような特許庁関係手続における旧姓併記に関するQ&Aも記載されています。
- なぜこの時期に特許等関係手続に旧氏併記を可能とするのですか。
- いつから書面への旧氏併記ができるようになりますか。
- 願書に記載した発明者等について、出願後に旧氏併記する補正は可能ですか。
- 出願した後に、婚姻により発明者等の氏名が変更になりましたが、旧氏併記した氏名へ補正することはできますか。
- 書類の氏名欄に旧氏併記の記載を行うために旧氏を証明する書類をあわせて提出する必要がありますか。
- 併記が許容される「旧氏」とは何ですか。
- 特許庁に提出する書類の氏名欄に、旧氏のみの記載はできますか。
- 外国籍を有する者についても旧氏を併記することは可能ですか。
- 法人の代表者についても旧氏を併記することは可能ですか。
- PCT国際出願についても旧氏を併記することは可能ですか。
- PCT国際出願にスペースを使用して旧氏を併記した場合、当該出願の日本への国内移行の際、国内書面にはどのように記載しますか。
- 意匠の国際登録出願(ハーグ出願)、商標の国際登録出願(マドプロ出願)についても旧氏を併記することは可能ですか。
特許庁のプレスリリースにも記載されていますが、近年では住民票やマイナンバーカード、運転免許証、旅券等の公的証明書においても旧氏併記を認めていることもあり、旧姓の使用がいろいろなところで認められるようになってきましたね。
弊所では、旧姓を表示した特許出願・商標出願等ももちろん承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。