育成者権に関するライセンス契約書のひな形が公表されています
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
以前のブログに書きましたが、令和2年の改正種苗法により、「登録品種の増殖は許諾に基づき行う」ことになります。
農林水産省は、その許諾(ライセンス)に関する契約書のひな形を公表しましたので、今回はそれについて書きます。
登録品種から農業者が得た収穫物を自己の農業経営において種苗として利用する場合の契約書のひな形のWebサイトはこちら
さて、このサイトでは、契約当事者の立場を考慮して、次のように計5つのひな形が公表されています。
- 生産者と育成者権者/団体が直接契約する場合
- 生産者に代わって団体が育成者権者と契約する場合
詳細は、各契約書のひな形をご覧になっていただければと思いますが、これらの契約書には、比較的簡単に増殖できてしまうという植物品種の特性を考慮した条項が定められています。
例えば、「通常利用権の内容」には、
「乙が、甲又は甲から許諾を受けた通常利用権者により譲渡された本品種の種苗(植物体の全部又は一部で繁殖の用に供されるものをいう。以下同じ。)を用いて得た収穫物を自己の農業経営において更に種苗として用いる行為で、かつ日本 国内における行為に限る。なお、これに該当しない種苗の生産等、本品種の育成者権が及ぶ行為については、本契約とは別に許諾契約が必要である。」
と規定されています。
このような条項は、特許等のライセンス契約書では見られないものです。
農業関係者の中には、今まで契約書にあまり関与したことがない方も多いのではないでしょうか?
今後は、種苗法の改正を切欠にして、農業分野でも契約書の重症性が高まっていくことが想定されます。
育成者権に関する契約を検討する際には、まずこれらのひな形を参考にしてみては如何でしょうか?
弊所では、育成者権や商標権を許諾対象とするライセンス契約のご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。