「医療機器開発マネジメントにおけるチェック項目」等が公表されています
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)から「医療機器開発マネジメントにおけるチェック項目」および「医療機器開発マネジメントに関してのチェック項目記入表」が公表されていますので、今回はそれについて書きます。
この資料は、医療機器の開発において、事業の進捗状況等にかかる評価(Go/no-go判断を含めた事業化方針見直し等)を適切な時点で行うための「振り返り地点」として、治験を実施する事例を一例に作成されています。
なお、これらの資料は、AMEDにより作成されていますので信頼性の高いものになっています。
さて、これらの資料の内容ですが、次のイラストに描かれている4つのステージゲートが設定されており、各ステージゲートごとに、必要と考えられる項目がリストアップされています。
具体的には、各ステージごとに、(1)技術開発の観点と(2)事業化の観点とに分けて、次のようなチェック項目が解説されています。
- ステージゲート①
- 開発品目そのものの表か等に関すること(技術開発の観点)
- ニーズ
- 物理的・科学的現象の探索
- 要素技術開発
- コンセプト決定
- 研究環境等に関すること(事業化の観点)
- 市場の見極め
- 知財マネジメント、その他
- 開発品目そのものの表か等に関すること(技術開発の観点)
- ステージゲート②
- 開発品目そのものの表か等に関すること(技術開発の観点)
- 製品仕様確定およびコンセプトの妥当性検証のための非臨床評価の立案
- 研究環境等に関すること(事業化の観点)
- ビジネスモデルの立案
- 知財、その他
- 開発品目そのものの表か等に関すること(技術開発の観点)
- ステージゲート③
- 開発品目そのものの表か等に関すること(技術開発の観点)
- 臨床試験開始に向けての準備
- 研究環境等に関すること(事業化の観点)
- ビジネスモデルの構築
- 知財、その他
- 開発品目そのものの表か等に関すること(技術開発の観点)
詳細は、これらの資料をご覧になっていただければと思いますが、各ステージゲートにおいて、チェックすべき事項が簡潔に記載されているので、これらの項目をチェックすることにより、自社の現状を簡単に判断することができるようになっています。
ちなみに、各ステージゲートにおいて、必ず知財が絡んでいます。これは、医療機器開発においては、知財(特に特許)が重要な役割を果たすことになるからです。
例えば、「医療機器開発マネジメントに関してのチェック項目記入表」には、知的財産に関して次のようなチェックリストが記載されています。
- 当該製品に関連する先行特許調査は十分に行っていますか。
- 当該製品に必要な先行特許についてはライセンス等で使用できるようになっていますか。
- 開発後の特許調査についても実施することになっていますか。
- コア技術に関して、どのように保護するか(権利化/ブラックボックス)は明確になっていますか。
- 権利化に必要な新規性だけではなく進歩性が明確になっていますか。
- 必要な特許を必要な国に出願・登録していますか。
- 意匠等の他の産業財産権について検討していますか。
- 知的財産の権利化またはノウハウ保護に対する予算・体制・規程は確保されていますか。
- 知財の取り扱いについて、共同体内で書面で取り決めをしていますか。
- コア技術、およびそれ以外についても侵害調査を行っていますか。
- 模倣品・侵害者が現れたときの対応について明確になっていますか。
このチェック項目記入表を用いて各項目について簡単にチェックすることができます。
そして、そのチェック結果と上記のステージゲートのチェック項目とを照らし合わせることによって、考慮すべき項目とその進捗状況を確認することができるようになります。
したがって、これらの資料は、初めて医療機器開発を行うという企業だけでなく、以前から医療機器を開発している企業にとっても非常に役立つ資料になっていると思いますので、是非活用してください!
弊所では、医療機器開発における知的財産権のご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。