「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」の遵守が農林水産省の補助事業等に採択されるための条件になりました

「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」の遵守が農林水産省の補助事業等に採択されるための条件になりました

こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。

以前ブログ(ブログ1ブログ2)でご紹介した「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」の遵守が農林水産省の補助事業等に採択されるための条件になりましたので、今回はそれについて書きます。

「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」についての表紙
引用:「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」について

農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」には、秘密保持契約の他、データの収集・加工等により創出された価値のあるデータ・成果物等の利用や適切な利益配分の取決め、データ等の第三者提供や目的外利用の制限について、契約のひな形や考え方等が記載されています。

今回、農家をはじめとする農業関係者に対して、このガイドラインの周知・浸透を図ることを目的として、来年度(令和3年度)以降の農林水産省の補助事業等を用いて、スマート農機、農業ロボット、ドローン、IoT機器等を導入する場合は、そのシステムサービスの契約を、「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」に準拠させることが条件となりました。

したがって、例えば、農業現場で農業関係者がスマート農機(トラクター、コンバイン等)、ドローン(ほ場の情報を扱うもの)、農業ロボット(搾乳ロボット等)、IoT機器(環境制御施設、自動給水栓、飼養管理機器等を含む)等を利用することで生じるデータ等(画像やノウハウを含む)をスマート農業事業者が受領・保管する場合、農業関係者等との間で締結するシステムサービスの契約に関して、このガイドラインを満たした契約を締結しておく必要がありますので、ご注意ください。

ただ、個々の契約において、このガイドラインを満たしているか否かを判断するのは大変なので、農林水産省はそれを補助するチェックリストを作成しています。

チェックリストはこちら

また、このガイドラインに関するQ&Aも作成しています。

「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」に関するQ&Aはこちら

ちなみに、このQ&Aには、次のような質問に対する回答が解説されています。

  1. 対象データについて
    1. 「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」で対象としているデータ等について教えて下さい。
    2. データ等の⽣成に農業者の知⾒が寄与しているかどうかの判断はどのように⾏えば良いでしょうか。
  2. 要件化の対象について
    1. 農林⽔産省の補助⾦等について、ガイドラインへの準拠が令和3年度から要件化されますが、どのような利⽤規約が対象となりますか。
    2. ガイドラインへの要件化の対象となりうる農林⽔産省の補助事業等としては、どのような事業が想定されていますか。
  3. スマート農機等のメーカー、ベンダーの⽅に向けたQ&A
    1. 要件化の対象となるシステムサービス契約が、ガイドラインで⽰されたどの類型に沿ったものとすべきか教えて下さい。
    2. システムサービス契約が、ガイドラインに準拠していることは、どのように担保することができますか。
    3. システムサービス契約がガイドラインに準拠していることについて、⾃社HP やカタログ等にはどのように記載すれば良いでしょうか。
    4. ベンダー(メーカー)が、既に⾃社で定める「個⼈情報保護等の契約」を農業者と結んでいる場合においても、ガイドラインによる契約を新たに結ぶ必要はありますか。
    5. 要件化に対応するため、既存の契約ひな形を⾒直したいのですが、いつまでにどのような対応を済ませておく必要がありますか。
    6. ガイドラインに沿うようにするための、システムサービス契約の変更が難しい場合、要件化に対応していることにはならず、農林⽔産省の補助事業等の対象から外れてしまうのでしょうか。
  4. 農業者の⽅に向けたQ&A
    1. 農林⽔産省の補助事業等を活⽤せずに⾃⼰資⾦で導⼊したスマート農機等を使⽤する場合には、ガイドラインに基づいて、契約を⾏う必要はありますか。
    2. スマート農機等の利⽤時に、それらとサーバー間が繋がっておらず、単に操作等をする場合は、ガイドラインに基づいた契約を⾏う必要はありますか。
    3. 国の補助事業の活⽤の有無にかかわらず、農業者がリース会社等からリースして利⽤しているスマート農機等は、ガイドラインの対象になりますか。
  5. 契約の対象者について
    1. スマート農機等の利⽤において、ガイドラインに基づき契約を⾏う者は誰になるのでしょうか。
    2. 農業者Aが所有するスマート農機等を農業者Bが賃借して利⽤している場合、ベンダー(メーカー)は農業者A、Bどちらと契約を⾏うことになりますか。
    3. 複数の農業者が1台のスマート農機等を共同で利⽤している場合、ベンダー(メーカー)は利⽤する農業者全員とそれぞれ契約を⾏うことになるのでしょうか。
    4. 農業者がスマート農機等を複数台利⽤している場合、農業者とベンダー(メーカー)は機体ごとに契約を⾏う必要があるのでしょうか、それともまとめて1契約でよいのでしょうか(仮に機体のメーカーが異なれば、農業者はメーカー毎にそれぞれ契約を⾏う必要があるのでしょうか)。
    5. 集落営農組織がスマート農機等を利⽤している場合、ベンダー(メーカー)は誰と契約を⾏うのでしょうか。
    6. なぜガイドラインに基づき契約を⾏う必要があるのでしょうか。
    7. 契約することによる具体的なメリットを⽰して下さい。
    8. 契約書のひな形はありませんか。
    9. 契約期間はどの程度が想定されていますか。
    10. 契約後に、もしデータ流出などが発⽣した場合はどうなりますか(罰則等はありますか)。
    11. 本件に関して質問がある場合の相談先について教えてほしい。
    12. ガイドラインの普及を着実に進めるために、農林⽔産省の補助事業等における要件化の他にも、農林⽔産省において⾏う取組はあるのでしょうか。

なお、次のURLには、このガイドラインを遵守しなければならない令和3年度の対象事業リスト等も公表されています。

「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」の要件化に関する説明会(令和2年10月22日)配布資料のURLはこちら

今後の農林水産省の補助事業では、「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」を遵守している契約を締結しているか否かが条件になりますので、ご留意ください。

弊所では、「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」をを遵守している契約を締結しているか否かを含めて、農林水産省の補助金の申請サポートを行っております。
(上述したチェックリストには、「弁護士等のGL準拠の確認済みの場合」のチェック欄が設けられていますが、弁理士もこの欄を当然チェックすることができます。)

何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。

今日は以上です。

この記事を書いた人

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