「不使用取消審判請求に対する登録商標の使用の立証のための参考資料」が公表されました
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
2020年9月28日に、特許庁から「不使用取消審判請求に対する登録商標の使用の立証のための参考資料~登録商標を使っていたことを証明するために~」が公表されましたので、今回はそれについて書きます。
「不使用取消審判請求に対する登録商標の使用の立証のための参考資料」はこちら
商標権者等が、日本国内において継続して3年以上、指定商品・指定役務について登録商標の使用をしていない場合は、誰でも、その指定商品・指定役務に関する商標登録を取り消すことについて、いわゆる不使用取消審判を請求することができます。
不使用取消審判が請求された場合、商標権者は、その審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者等が、その請求に係る指定商品・指定役務のいずれかについて、登録商標の使用をしていることの証明しなければ、原則として商標登録が取り消されることになります。
したがって、商標権者としては、その請求に係る指定商品・指定役務のいずれかについて、登録商標の使用をしていることをどのように証明するかが重要になります。
そこで、特許庁は、登録商標の使用事実を証明するための証拠について、裁判例等を参考にこの資料を作成しました。
さて、この参考資料の内容ですが、次のような目次となっています。
- はじめに
- 不使用取消審判とは
- 不使用取消審判の概要
- 不使用取消審判の趣旨
- 使用の立証のポイント(要件)
- 使用の立証にあたっての留意事項
- 概要
- 立証資料の類型からみた留意事項
- その他の留意事項
- 使用の立証に関する参考判決
- 商標を付した商品の譲渡等の使用及び商標の広告的使用を認めた参考判決
- 登録商標の使用を認めなかった参考判決
- その他の使用に関する参考判決
- 参考情報
- 商標登録取消審判(特許庁HPへのリンク)
- 工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第21版〕(特許庁HPへのリンク)
詳細はこの資料をご覧になっていただくとして、この資料の最も重要な部分は、登録商標の使用を立証するための資料(証拠)の例とその留意事項が具体的に例示されていることです。
具体的には、次のようなものが、登録商標の使用を立証するための資料(証拠)になると記載されています。
- 写真等
- 取引書類
- 広告物
- 紹介記事
- 行政官庁等の保管書類
これらのうち、例えば「取引書類」として、「契約書、注文伝票〈発注書〉、出荷伝票、納入伝票〈納品書及び受領書〉、請求書、領収書又は商業帳簿、メニュー、取引や使用経過がわかるメール・fax等」が具体的に例示されています。
ただ、形式上これらの書類に該当するとしても、「販売の事実を裏付ける取引書類から特定される商品等と、上記の証拠から確認できる登録商標が使用された商品等とが同じものといえない場合、登録商標の使用を十分に立証できないことになります。」と留意事項に解説されていますので、各資料の留意事項についても目を通しておくことをお勧めいたします。
あと、この他に参考となる裁判例も解説付きで記載されています。
この資料を読めば、登録商標の使用を立証するための資料(証拠)が、裁判でどのように取り扱われたのかの概要を掴むことができるのではないでしょうか?
不使用取消審判を請求する場合や受けた場合には、まずこの資料に当たることをお勧めいたします。
弊所では、不使用取消審判を請求する際のご相談や、不使用取消審判請求を受けた場合のご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。