「家畜遺伝資源不正競争防止法」をご存知ですか?
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
「家畜遺伝資源不正競争防止法」をご存知でしょうか?
この法律は、令和2年4月24日に公布され、令和2年10月1日に施行されることになっています。
正式名称は「家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律」で、家畜遺伝資源の生産事業者間の公正な競争を確保するため、家畜遺伝資源に係る不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を規定している法律です。
この法律は、冷凍保存した和牛の受精卵と精液を中国に不正に持ち出そうとした事件を切欠にして、和牛の受精卵等の流出自体を止める法律がないということから立法されたものです。
この法律の特徴的なところは、「家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案の概要」の背景の欄の冒頭に、「長年の改良により付加価値の高まった家畜遺伝資源は、知的財産としての価値を有する」と記載され、新しい知的財産法であることを明示している点です。
「家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案の概要」はこちら
さて、この「家畜遺伝資源不正競争防止法」ですが、規定ぶりは、一般の不正競争防止法と似たような構成となっています。
具体的には、不正競争行為を限定列挙し、これらの行為がなされて営業上の損害を受ける者は、その行為を行った者に対して、民事上の救済として差止請求や損害賠償請求等を行うことができると共に、刑事罰が課されることがあるという構成となっています。
保護対象が、「家畜遺伝資源※」となっており、活用できる場面はそれほどないかもしれませんが、日本の貴重な遺伝資源を守る法制度ができたことは生産者にとって喜ばしいことだと思います。
なお、現時点(2020年9月時点)では、「家畜遺伝資源不正競争防止法」に関する逐条解説等のまとまった資料はないようです。
上記の「家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案の概要」は、この法律を理解するために役立つ貴重な資料です。
家畜遺伝資源を扱う方は、是非ダウンロードして、一度ご覧になることをお勧めいたします。
弊所では、家畜遺伝資源不正競争防止法に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。
家畜遺伝資源とは、家畜遺伝資源生産事業者が業として譲渡し、又は引き渡す特定家畜人工授精用精液等(家畜改良増殖法(昭和二十五年法律第二百九号)第三十二条の二第一項に規定する特定家畜人工授精用精液等をいう。)であって、当該家畜遺伝資源生産事業者が契約その他農林水産省令で定める行為によりその使用する者の範囲又はその使用の目的に関する制限を明示したものをいう(家畜遺伝資源不正競争防止法第2条第1項)。
※「家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案の概要」が更新されたので、最新のものへのリンクを修正(2021/3/20)
※「家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案の概要」のリンク先を修正(2021/11/7)