電子署名法に関するQ&Aについて
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
昨今のコロナウィルスの影響もあり、電子署名法への関心が高まってきているようです。
そこで、総務省、法務省、経済産業省は、「電子署名法に関するQ&A」を公開していますので、今回はそれについて書きます。
電子署名法とは、正式には「電子署名及び認証業務に関する法律」といい、平成13年4月1日から施行された法律で、「電磁的記録(電子文書等)は、本人による一定の電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する」ということを規定しています。
今回、ご紹介するのは、この法律の第2条、第3条に関するQ&Aで、条文で規定されている事項を解説したものになっています。
具体的には、次のような質問に関する回答が解説されています。
- 電子署名法第2条関係Q&A
- 電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号、以下「電子署名法」という。)における「電子署名」と はどのようなものか。
- サービス提供事業者が利用者の指示を受けてサービス提供事業者自身の署名鍵による電子署名を行う電子契約サービ スは、電子署名法上、どのように位置付けられるのか。
- どのような電子契約サービスを選択することが適当か。
- 電子署名法第3条関係Q&A
- 電子署名法第3条における「本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、 本人だけが行うことができることとなるものに限る。)」とは、 どのようなものか。
- サービス提供事業者が利用者の指示を受けてサービス提供事業者自身の署名鍵による暗号化等を行う電子契約サービ スは、電子署名法第3条との関係では、どのように位置付けられるのか。
- サービス提供事業者が利用者の指示を受けてサービス提供事業者自身の署名鍵による暗号化等を行う電子契約サービ スが電子署名法第3条の電子署名に該当する場合に、「これを 行うために必要な符号及び物件を適正に管理すること」とは、 具体的に何を指すことになるのか。
電子署名法は、法律とIT技術とが関連する法律となっており、法律に慣れた人でもなかなか理解しづらいのではないかと思います。
例えば、電子署名法第3条関係Q&Aの『電子署名法第3条における「本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、 本人だけが行うことができることとなるものに限る。)」とは、 どのようなものか。』に関して、詳細はQ&Aをご覧になっていただくとして、次のような記載(一部抜粋)があります。
(下線追加)
この電子署名法第3条の規定が適用されるためには、次の要件が満たされる必要がある。
①電子文書に電子署名法第3条に規定する電子署名が付されていること。
②上記電子署名が本人(電子文書の作成名義人)の意思に基づき行われたものであること。
このように電子署名法第3条に規定する電子署名について同法第2条に規定する電子署名よりもさらにその要件を加重しているのは、同法第3条が電子文書の成立の真正を推定するという効果を生じさせるものだからである。
すなわち、このような効果を生じさせるためには、その前提として、暗号化等の措置を行うための符号について、他人が容易に同一のものを作成することができないと認められることが必要であり(以下では、この要件のことを「固有性の要件」などという。)、そのためには、当該電子署名について相応の技術的水準が要求されることになるものと考えられる。
したがって、電子署名のうち、例えば、十分な暗号強度を有し他人が容易に同一の鍵を作成できないものである場合には、同条の推定規定が適用されることとなる。
このように、電子署名法の分かり難い部分に関し、ある程度かみ砕いて説明がなされていますが、「固有性の要件」や「暗号強度」等、技術的な用語も記載されているため、このQ&Aだけでは正確に理解しにくいかもしれません。
ただ、分かり難い法律を少しでも分かり易くするために、このような資料を作成してくれるのは非常にありがたいです。
(しかも、所管省庁の公式見解でもあります。)
電子署名法に関する資料としては、必須のものであると思いますので、是非ダウンロードして読んでみることをお勧めいたします。
弊所では、電子署名法に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。