「押印についてのQ&A」が公表されました
こんにちは、高田馬場で特許事務所を共同経営しているブランシェの弁理士 高松孝行です。
令和2年(2020年)6月19日に、内閣府、法務省および経済産業省が連名で、「押印についてのQ&A」を公表しましたので、今回はこれについて書きます。
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今年(2020年)の1月下旬から世界的に流行しているコロナウィルスの影響を受けて、我が国も、国を挙げてテレワークを推進しています。
しかし、企業内部手続(契約書や請求書等)の際に押印が必要となるため、自粛期間中であっても出社しなければならない社員がいるということが、テレワーク推進の障害となっていると言われています。
そこで、国は、民間における押印慣行の見直しに向けた自律的な取組が進むように、この資料を作成しました。
さて、この資料の内容ですが、次のような項目に対する省庁の考え方が解説されています。
- 契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。
- 押印に関する民事訴訟法のルールは、どのようなものか。
- 本人による押印がなければ、民訴法第228条第4項が適用されないため、文書が真正に成立したことを証明できないことになるのか。
- 文書の成立の真正が裁判上争われた場合において、文書に押印がありさえすれば、民訴法第228条第4項が適用され、証明の負担は軽減されることになるのか。
- 認印や企業の角印についても、実印と同様、「二段の推定」により、文書の成立の真正について証明の負担が軽減されるのか。
- 文書の成立の真正を証明する手段を確保するために、どのようなものが考えられるか。
例えば、1の「契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。」という問いの回答として、
- 私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。
- 特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。
という回答が簡潔に記載されています。
このように、上記の項目に関する官庁の見解(民訴法の解釈)が簡潔に記載されています。
押印に関して疑問がある方は、是非この資料を読んでみてください!
ちなみに、押印の商慣習の変更について会社の上層部を説得する際にも、この資料は活用できると思います。
(役所もこのように回答しているので、わが社も押印の取扱いを変えましょう!と説得できるかもしれませんよ!)
弊所では、知的財産権のライセンス契約を含めて契約に関するご相談も承っております。
何かありましたら、弊所に是非ご相談ください。
今日は以上です。